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電気二重層キャパシタ(EDLC/スーパーキャパシタ)は電力を平準化する

電気二重層キャパシタ(EDLC/スーパーキャパシタ)の特徴

電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor/スーパーキャパシタ)は一般的なコンデンサと異なり、電解液の電極周辺に電気二重層という極とは逆の極性を持った層が形成されるため、電気容量が大きくなります。コンデンサ同様、大電流の充放電や繰り返しサイクル特性が非常に優れています。簡単にまとめると、以下の様な特徴を持っています。

  1. 1. 劣化が少なく数十万から数百万サイクルの充放電が可能
  2. 2. 出力密度が高く、急速充放電が可能
  3. 3. 電極に鉛やカドミウムを使用していないため、環境負荷が低い
  4. 4. 鉛蓄電池同様、使用できる温度範囲が広い

これらの特徴から、電気二重層キャパシタは、インバータとバッテリーの間に追加することで、バッテリーに代わってモーターに大電力の入出力を行う事ができるようになります。
電気二重層キャパシタは一般的なコンデンサと異なり、誘導体に電解液を使用しています。

  • (a)一般的なコンデンサの模式図です。
  • (b)誘導体に電解液を使うことで電極面積に比例した静電容量が得られる

一般的な電気二重層キャパシタのセルは定格で2.5~2.7V程度ですので、高電圧が必要な場合はセルを直列で繋ぐ必要があります。逆に容量が必要な場合は並列で接続します。
ただし直列で接続する場合には個々のセルに電圧のアンバランスによる過電圧がかかるのを防止するため、各セルに対し並列で分圧抵抗や電圧を均等化するための回路を入れる必要があります。

この電気二重層キャパシタですが、近年、活性炭の賦活技術が進んだことにより、電極に利用する活性炭がグラム当たり2000m2程度の、非常に大きな比表面積を持つ素材が出て来ました。これによって重量当たりの大容量化が進んでいます。また、量産性に優れた円筒形キャパシタでは、電極の厚みや製法、活性炭や電解液の組み合わせによって、内部素子の容量や抵抗など、電気的特性が変わってきます。

 円筒形電気二重層キャパシタの構造は封口板、集電端子、電極とセパレータ

そこで次に電気二重層キャパシタの電気的特性について考えましょう。まずは放電特性ですが、蓄電池と異なり、電圧変化が直線的で0Vまで放電可能であるため、電荷残量の予測がしやすいのが特徴です。

  • 放電特性は直線的に電圧が下がり利用できるエネルギーは三角形
    (a)キャパシタ
  • 利用可能なエネルギーは四角形に近いものとなります。
    (b)2次電池

とはいえ、温度によって変化する次の4つの点を考慮する必要があります。
まずは「容量」です。ごく低温になると、容量が小さくなる傾向があります。また同じく「直流内部抵抗」は大きくなります。これは構成材料の固有抵抗と内部接続抵抗から成っています。
一方、高温になった際に影響を受けるのは「漏れ電流」と「電圧保持特性(自己放電特性)」です。高温になると漏れ電流が大きくなり、そのために電圧保持特性も悪化します。

電気二重層キャパシタの応用例

では電気二重層キャパシタの利用例を紹介しましょう。ここでは「エネルギー平準化」「エネルギー回生」「瞬時電圧低下補償装置」を紹介します。
まずは「エネルギー平準化」での利用例を紹介しましょう。これは入力されるエネルギーに時間変動がある場合の使い方です。入力が多いときは電気二重層キャパシタを間に入れる事で、入力よりも出力を低く抑えます。逆に入力が少ない時には電気二重層キャパシタに蓄えられた電気を追加することで、一定の電気が出力されるようにするものです。

風力発電所での活用例です。

例えば風の強さに影響を受ける風力発電や、夜間には発電できず、昼間も雲量に左右される太陽光発電などの再生可能エネルギーによる発電所が対象になります。もちろん電気二重層キャパシタの蓄電容量はそんなに大きくありませんので、実際にエネルギーを溜めるのはNAS蓄電池やレドックスフロー蓄電池、大型のリチウム・イオン蓄電池などですが、この蓄電池に一定の電流量を送り込むためのバッファの形で使用されています。というのも、特にリチウム・イオン蓄電池は満充電のための充電コントロール方式としてCC・CV方式を採用していますから、一定の電流量での入力が必要になります。従って、自然エネルギーのように入力される電流量が変動するようなものは、入力側としては望ましくないのです。場合によっては、発電された全ての電気を一旦電気二重層キャパシタに蓄え、そこから一定出力で蓄電池に出力するという回路を製作している場合もあります。ただし、一部では電力貯蔵用としても活用が始まっています。

次の「エネルギー回生」の方はどうでしょう。例えば新幹線をはじめとする鉄道車両では、ブレーキに回生ブレーキを使用することで、加速の際に使用した電気を回収するということをしています。これも電気二重層キャパシタが適している分野です。
現状ではクレーンなどで使用されています。クレーンの巻き下げ時に電気二重層キャパシタに蓄電しておき、巻き上げ時にはこのエネルギーを使用することで、エンジンの燃費を削減し、エネルギーを効率化することができます。
どちらも、これまでは摩擦熱として廃棄していたエネルギーを回収し、有効利用しているのです。

最後に「瞬時電圧低下補償装置」について紹介します。例えば落雷などによって停電や瞬時電圧低下が発生すると、工場や医療現場などの精密機器を扱う場所では、これが原因で装置の動作が不安定になる、または場合によっては破壊されてしまうことがあります。電気二重層キャパシタを使用した装置を導入することで、この対策を行う事ができます。もし長期間停電しそうな場合には、自家発電装置に切り替わるまでの間を補償できますし、安全に装置のシャットダウンを行う時間的な余裕を持たせることが可能となります。

このように、電気二重層キャパシタは、入力を安定化させるためのバッファとして、様々な場所に活用されています。

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参考文献

  • トランジスタ技術SPECIAL2013 Winter, No.121、他
  • 電気二重層キャパシタ
    kawasaki.web.nitech.ac.jp/jp/review/EDLC-SWCNT.pdf
  • 大容量キャパシタの現状と課題
    www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/74/3/74_3_249/_pdf/-char/en

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