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CTに関する一般用語

CT
CTとは、computed tomographyの略で、コンピュータ断層撮影とも呼ばれます。
コンピュータ断層撮影
コンピュータ断層撮影(CT)とは、複数の異なる角度で撮影されたX線画像から、コンピュータを用いて断面画像を生成する方法です。スキャン方法により、平行ビーム光学系、ファンビーム(扇形ビーム)光学系、コーンビーム(円錐ビーム)光学系がある。投影された画像をコンピュータで再構成し、断面画像(CTスライス、断層画像)を復元します。CTの数学的な基礎は、ラドン変換とラドン逆変換です。
CTスキャン
CTスキャンとは、CT画像を得るための方法です。試料を回転させCT投影を行う方法と、試料の周りを、放射線源と検出器が回転をCT投影を行う方法があります。工業用のCTスキャン装置では、試料をターンテーブルに載せ回転させる方法が多く、医療用のCTスキャン装置では、放射線源とX線検出器が人体の周りを回転しCT投影を行います。どちらも角度を変えて撮影したCT投影データのセットをコンピュータで再構成し、CT画像に変換します。
CT投影
CT投影とは、放射線による試料の投影やその撮影のことです。または、その1Dや2Dの投影画像データを指す場合もあります。
トモグラフィー
トモグラフィーとは、各種の信号を画像化する方法です。コンピュータを用いて画像化する方法をCTと呼びます。 放射線によるトモグラフィーが有名ですが、音波やテラヘルツ波、電気容量などのトモグラフィーもあります。
ファントム
ファントムとは、CTスキャン装置を評価するために用いる試料のことです。評価する内容に合わせて各種のファントムが用意されています。また、校正用の基準としても用いられます。
自作される場合もあるが、以下のメーカーで販売もされている。
https://www.qrm.de/en/
https://www.phantomlab.com/
https://www.cirsinc.com/
https://www.pureimagingphantoms.com/
X線マイクロトモグラフィー
X線マイクロトモグラフィは、マイクロメートル単位のピクセル(ボクセル)で3次元モデルを提供するX線CTスキャナです。3次元(3D)構造を高解像度で可視化することができ、マイクロコンピュータ断層撮影マイクロCT高分解能CTとも呼ばれます。試料を回転させてスキャンする装置と、X線管と検出器が試料の周りを回転してスキャンする装置の2種類があります。
X線マイクロトモグラフィの応用分野 - 電子材料、複合材料、医薬生物学、電子デバイス、地質学、食品・種子、高分子材料、繊維、鋳造、積層製造(3Dプリンタ)

CT再構成・走査(スキャン)に関する用語

再構成
再構成とは、CT投影で得られた画像データから断層画像(断面画像)を得ることです。再構成の方法には、逆投影法(Back projection)と逐次近似画像再構成法(Iterative reconstruction)に大別されます。フィルタ補正逆投影法(filtered back projection:FBP法)が主流でしたが、アーチファクトの低減効果で逐次近似画像再構成法が増えつつあります。
コーンビームCT
コーンビームCTとは、CTスキャン方式の一種で、円錐状に照射されたX線をフラットパネルディテクタなどを用いて画像化しコンピュータ処理する方法です。比較的短時間でCTスキャンが完了します。しかし、コーンビームアーチファクトが発生する可能性があります。
ファンビームCT
ファンビームCTとは、CTスキャン方式の一種で、扇状に照射されたX線をラインセンサやX線フラットパネルで画像化し、コンピュータを用いて処理する方法です。コーンビームCTと比較されることが多く、コーンビームCTよりアーチファクトの少ないCTデータが得られますが、多層のCTデータを得るためには時間がかかります。
サイノグラム(シノグラム)
サイノグラムとは、CT投影で得られた画像データのセットを、横軸をチャンネル、縦軸を回転角にして並べた画像です。回転軸の中心位置や、傾き、ブレがわかり、装置の校正や点検などに用いられます。
フェルドカンプ
フェルドカンプ(Feldkamp)法とは、コーンビームCTで得られる2次元投影データから3次元CTデータを再構成の方法です。フェルドカンプ法は、重畳積分法の1種で、フィルタ補正逆投影法に分類されます。
ノーマルスキャン
ノーマルスキャンとは、通常のスキャン方法のことです。工業用のCTスキャン装置では、360°回転させて撮影することです。
ハーフスキャン
ハーフスキャンとは、工業用のCTスキャンで用いられるスキャン方法で、試料を180°回転させて撮影し、再構成することです。フルスキャンよりも短時間でスキャン出来ます。
ヘリカルスキャン
ヘリカルスキャンは、らせん状に回転してスキャンする方法です。主に、医療用のCT装置で用いられているスキャン方法です。
オフセットスキャン
オフセットスキャンは、回転中心とカメラの中心がオフセットされた状態でスキャンする方法です。通常のスキャンよりも幅広くスキャンすることが出来ます。
フルスキャン
フルスキャンは、ノーマルスキャンと同じです。ハーフスキャンとの比較として使われることがあります。
SID:source-to-image distance
SIDとは、X線源の焦点から検出器までの距離のことです。幾何倍率を計算する場合に使います。他にも以下の略称が使われています。
FID:focus-to-image distance (X線用語集)
FDD:focus-to-detector distance
SOD:source-to-object distance
SODとは、X線源の焦点からCT対象物の回転中心までの距離のことです。幾何倍率を計算する場合に使います。他にも以下の略称が使われています。
FOD:focus-to-object distance (X線用語集)
FCD:focus-to-centre distance

CTのデータや表示・解析に関する用語

CTデータ
CTデータとは、X線画像を再構成して得られた立体画像データのことです。CT画像とも呼ばれます。
CT画像
CT画像とは、X線画像を再構成して得られた立体画像データのことです。CTデータとも呼ばれます。
断層画像
断層画像とは、再構成で得られる画像のことです。CT画像はこの断層画像を積み重ねた画像データセットになっています。
CTスライス
CTスライスとは、CT画像の断面のことです。ファンビームCTでは、投影画像から再構成されたCT画像の一つの層です。
CTグレー値
CTグレー値は、CT画像の各ボクセルの濃淡を表す値です。
ボクセル
ボクセルとは、CT画像のボリューム単位のことです。ボクセルのデータは、CTグレー値で表します。
ビュー数
ビュー数とは、回転撮影時の方向数のことです。つまり、角度の異なる透過画像の撮影枚数といえます。ビュー数を多くすると細かな角度ピッチで撮影されより詳細なCTデータとなりますが、撮影や再構成に時間がかかります。一般的には、300、360、600、720ビュー程度がよく使われています。
STL
STLとは、3次元形状の表面を多数の三角形で表したデータのファイル形式です。STLは、光造形法(Stereolithography)に由来し、メッシュデータとも呼ばれ、主に光造形や3Dプリンタで使用されています。
VG Studio
VG studioとは、ボリュームグラフィックス社のCT画像を表示、解析するためのソフトウェアです。
リバースエンジニアリング
リバースエンジニアリングとは、製品の分解や解析などからデータ化や数値化することです。CTスキャナでは、製造された部品のCTデータと設計の3Dモデルとの比較などが行われています。
ボリュームレンダリング
ボリュームレンダリングとは、3次元コンピュータグラフィックスにおいて、濃淡データを立体的に表現する方法です。CT画像では、ボクセルのCTグレー値を用いてレンダリングを行います。
MPR
MPRとは、multiplanar reconstructionの略で、日本語では多断面再構成像や任意断面表示と呼ばれています。CTデータの最も一般的な表示方法です。MPRはCTデータのビューワーで最も一般的な表示方法となっています。産業用CTの一般的なMPR表示では、表示画面を4分割にし、CTデータのX-Y、X-Z、Y-Z断面と任意の方向からの断面を表示します。

CTのアーチファクトに関する用語

アーチファクト/アーティファクト(米: artifact, 英: artefact)
アーチファクトとは、CT画像に現れるノイズのことです。アーチファクトにより、本来の物理的な形状や密度と異なるCT画像となるので注意する必要があります。
発生原因により、ビームハードニング金属アーチファクトリングアーチファクトなどと呼ばれるアーチファクトがあります。
金属アーチファクト
金属アーチファクト(メタルアーチファクト)とは、金属などX線を透過しにくい試料を撮影したときに発生するノイズです。複合材料を撮影した場合、金属部分の周りに発生するストリーク状のアーチファクトが金属アーチファクトです。 対策方法は、CTスキャン撮影時の低減と、画像処理(再構成)での低減があります。
撮影時の低減方法は、次の様な方法があります。
・管電圧を上げる。
ビームハードニングの影響を抑えるため、照射するX線を銅板などでフィルターし撮影する。
リングアーチファクト
リングアーチファクトとは、CTの断面画像に現れるリング状の濃淡ムラのことです。検出器の感度ムラや照射するX線の輝度ムラに由来します。画像処理での低減やX線カメラの校正で低減出来ます。
コーンビームアーチファクト
コーンビームアーチファクトは、フェルドカンプアーチファクトとも呼ばれ、検出器に対して試料の水平な部分に発生するアーチファクトです。試料を斜めにすることで回避できます。
ビームハードニング
ビームハードニングとは、連続X線(連続したエネルギー、スペクトルを持つ白色X線)が物質を透過したときに、低エネルギーのX線がより多く吸収され、高エネルギーのX線の比率が増える現象のことです。(ビームハードニング=線質の硬化)
ビームハードニングは、CT画像に現れるアーチファクトの一種です。ビームハードニングにより、均一な密度の物質がCT画像では密度の異なる物質のようになります。