LEDとは
LEDとは半導体の一種で「発光ダイオード」とよばれるものです。英語のLight Emitting Diodeの頭文字をとってLEDとよばれています。LEDが発見されたのは1907年のことですが、実用化されたのは1950年頃です。当初は赤や橙、黄緑の光を発するのが一般的で、電気製品の電源ランプなどに使用されてきました。
LEDの活用範囲が一気に広がったのは、1993年に青色発光ダイオードが発明されたのがきっかけです。その3年後の1996年に白色発光ダイオードが完成すると、照明やディスプレイなどにも多く用いられるようになりました。それまで主流だった白熱電球や蛍光灯に比べて省エネになり、寿命も長いことなどから、近年では住宅の照明にも広く使われています。
LEDはP型半導体とN型半導体が接合されたPN接合で構成されています。LEDチップに順方向の電圧をかけると、P型半導体とN型半導体の接合面で正孔と電子がぶつかり、再結合されます。このときに生じたエネルギーが光となって放出されるのが発光の仕組みです。
LEDの特徴
LEDには、次のような特徴があります。
- 寿命が長い
- 小さい
- 衝撃に強い
- 消費電力が少ない
- 応答が速い
- 光の制御が容易(点滅性能が高い)
半導体であるLEDは、機械的な部品を伴わないため故障しにくく、長寿命です。また、同様の理由で小さいのも特徴です。さらにガラス管を伴っていた従来の照明などに比べると、衝撃にも強くなっています。
半導体そのものが発光するため、電気抵抗によって赤熱させる白熱電球や、放電によって蛍光塗料を光らせる蛍光灯と異なり、エネルギーのロスが少なく省エネです。仕組みは半導体に通電しているだけなので、応答性も高く、点滅や光量の制御がしやすいのも特徴です。
OLEDやLDとの違い
OLEDとは
LEDの一種にOLEDがあります。OLEDとは、Organic Light Emitting Diodeの頭文字を取ったもので、有機ELを利用した発光ダイオードを意味しています。
有機ELとは、オルガニック・エレクトロ・ルミネッセンス(organic electro-luminescence)とよばれる、電圧をかけると発光する素子です。有機ELの構造は、電極や輸送層、発光層などが、透明な基板の上に積み重なった形になっています。この層に電圧をかけると発光層が発光する仕組みです。
有機ELを利用しているものにはOLEDと発光ポリマーの2つがあります。
さらに近年活用が進んでいる新しい技術として、量子ドットがあります。これは半導体結晶物質を用いて、入射してきた光を別の波長の光に変換し、色を作るものです。
有機ELディスプレイには、白色OLEDとカラーフィルタ(色板)を組み合わせる方式などがありますが、量子ドット技術を用いると、より高純度な色の光を発光させることが可能になります。
OLEDとLEDの違い
OLEDとLEDの原理は、基本的には同じです。どちらも、基板に形成された電極に挟まれた材料に電気を通して発光させますが、発光体が有機材料であるか無機材料であるかの差があります。
発光体に有機材料を用いて電気を通して発光するのがOLEDです。発光体が無機材料であるものがLEDに分類されます。
レーザーダイオード(LD)とは?
レーザーダイオードは、半導体レーザ(Laser Diode)ともよばれ、電気を流すことでレーザ発振させることができる半導体素子のことです。PN接合に電気を流して発光させる点ではLEDと似ていますが、レーザーダイオードは『誘導放出』という現象を利用して、位相の揃った強力な光(レーザー)を生成する点で本質的に異なります。
レーザーダイオードのアイデアは、LEDが実用化された1950年頃に出てきました。デバイスとして実用化されたのは、1970年代後半です。
他のレーザ発振器に比べ、小さく安価で消費電力が少ないのが特徴です。そのため、工業や産業用途だけではなく、私たちが一般的に使用する機器に多く用いられています。レーザーポインターに使われているのもレーザーダイオードです。
レーザーダイオードとLEDの違い
レーザーダイオードとLEDの差は、発される光がレーザであるか一般的な光であるかです。レーザとは、一般的な光とは異なり、スペクトル幅が狭い単一の波長で構成されており、波の位相がそろっていて指向性が高いのが特徴です。
よって、レーザーダイオードは発振するレーザのエネルギーを制御しやすいという特性があります。
| 赤外レーザーダイオード | 赤外LED | |
|---|---|---|
| 波長スペクトル |
![]() 短波長 |
![]() ブロード波長 |
| 位相 |
![]() 位相が揃っている |
![]() 位相がバラバラ |
| 光の広がり方 | 直進する | 発散する |
| 発生方法 | 誘導放出 | 自然放出 |
身近にあるLED
LEDは、青色発光ダイオードの発明以降、飛躍的に用途が増えました。私たちの身近で見られるLEDの用途を、通常のLEDとレーザーダイオードに分けて紹介します。
LED
- 電気機器の信号表示
- 照明
- 車のヘッドライト
- ディスプレイ
- 光学式マウス
LEDは電子機器や家電の電源ランプにもよく用いられてきました。比較的単純な装置の場合、LEDが整流作用と通電を示すランプの両方を担っているケースもあります。
また青色発光ダイオードの発明以降は、家庭などで使われる照明の他、車のヘッドライト、街灯などの照明や信号機にも使われるようになっています。
特に近年では環境への配慮により、エネルギー消費量の少ないLED照明は注目を集めてきました。また、点滅応答性も良いことから電飾やディスプレイにも多く使われています。
レーザーダイオード
- 光ディスク
- レーザーポインター
- プロジェクター
- レーザー加工機
- レーザー式マウス
- レーザー墨出し器
- 距離計
小型で安価なレーザーダイオードは、情報機器などでの使用例も多くなっています。光ディスクの読み書きに使われるレーザや、レーザーマウスなどはその一例です。また産業用途ではレーザー墨出し器やTOF(Time of flight)センサなどに代表される距離計なども挙げられます。
参考資料
関連製品
松定プレシジョンでは、LEDや有機ELランプの評価試験に使用できる、定電流モード(CCモード)機能を搭載した電源をラインナップしております。



