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用途・事例

電気流体力学(Electrohydrodynamics, EHD)は、電場(電界)と流体(気体・液体)の相互作用を利用して流体の輸送や制御を行う技術分野です。ファンやポンプのような機械的駆動部品を必要としないため、静音性、小型・薄型化、メンテナンスフリーといった特長を持ちます。このEHD現象を駆動させる動力源が高圧電源です。EHDを応用した機器の性能と信頼性は、印加する電圧の精度、安定性、応答性に大きく依存するため、目的に応じた最適な高圧電源の選定が極めて重要となります。

本稿では、EHDの基本原理から応用分野、そして各アプリケーションに求められる高圧電源の要件について解説します。

EHDの基本原理

EHDは、電場が流体中の荷電粒子(イオン)や誘電体粒子に及ぼす電気的な力(クーロン力、誘電力など)を利用して、流体自体に運動量を与え、流れを発生させる現象です。この現象は、電磁気学のマクスウェル方程式と流体力学のナビエ-ストークス方程式を連成させることで記述されます。

上記はEHDにおける力の密度 mathbff_e を示す式の一例です。第1項がクーロン力、第2項、第3項が誘電体力(分極力)に相当します。

fe=ρeE12E2ϵ+12(E2ρϵρ)\mathbf{f}_e = \rho_e \mathbf{E} - \frac{1}{2} E^2 \nabla \epsilon + \frac{1}{2} \nabla \left( E^2 \rho \frac{\partial \epsilon}{\partial \rho} \right)

EHDで利用される代表的な現象には、イオン風、誘電泳動、電気浸透流などがあります。

EHDの主要現象と必要な高圧電源

イオン風(Ionic Wind)

針状電極と対向電極間に高い直流電圧を印加することでコロナ放電を発生させ、イオンを生成・加速し、周囲の中性気体分子との衝突を通じて気流を発生させる現象です。

応用分野
電子機器冷却、空気清浄、静電気除去(イオナイザ)
必要な電源特性
電圧/極性:数kV~数十kVの安定した直流高電圧。正負両極性の出力が求められる場合もあります。
安定性/リップル:放電現象を安定に維持するため、低リップルで高安定な出力が不可欠です。電圧の変動はイオン生成量のムラや、それに伴う風速の不安定化に直結します。
制御性:風速を精密に制御するため、外部アナログ信号やデジタル通信による高精度な出力電圧制御機能が求められます。

松定プレシジョンのソリューション:基礎研究には高安定・低リップルなデジタル高圧直流電源HARSシリーズなどが、製品組込みには小型・高効率な高圧電源モジュールが最適です。

誘電泳動(Dielectrophoresis, DEP)

不均一な電場中に置かれた誘電体粒子が、分極によって生じる力で移動する現象です。特に、液体中の微粒子(細胞、バクテリア、ナノ粒子等)の分離・操作に用いられます。

応用分野
細胞分離、水質検査、ドラッグデリバリー
必要な電源特性
出力形態:不均一電場を効率的に生成するため、高周波の交流(AC)電圧が必要です。
周波数/波形:対象とする粒子の特性(誘電率)に応じ、最適な周波数(数kHz~数MHz)を選択する必要があるため、周波数可変機能が重要です。正弦波や矩形波など、多様な波形出力が求められる場合もあります。
高速応答:粒子を動的に操作する場合、電圧の高速なON/OFFや振幅変調が可能なアンプタイプの電源が有効です。

松定プレシジョンのソリューション:高速で高電圧な波形を自在に出力できる高圧アンプ/高速高圧電源が、誘電泳動をはじめとする動的なEHD制御実験を強力にサポートします。

電気浸透流(Electro-osmotic Flow, EOF)

マイクロ流路の内壁と液体との界面に形成される電気二重層に、流路方向の電場を印加することで、流体全体を駆動させる現象です。

応用分野
MEMS、Lab-on-a-Chip、DNAシーケンサ、微量送液ポンプ
必要な電源特性
電圧/電流:比較的低い電圧(数十V~数kV)ですが、極めて精密な制御が要求されます。
ノイズ特性:微細な流れを扱うため、出力ノイズが流れの乱れに直結します。超低リップル・低ノイズ特性が不可欠です。
極性切替:流れの方向を瞬時に反転させるため、高速な極性切替機能を持つ電源が重宝されます。

松定プレシジョンのソリューション:卓上での精密な実験には、超低リップルを実現したベンチトップタイプのHJPSSシリーズなどが最適です。また、OEM組込み向けに、これらの性能を小型モジュールで提供することも可能です。

EHD応用における電源選定のポイント

EHD技術を応用した製品開発や研究を成功させるためには、以下の観点から総合的に高圧電源を選定する必要があります。

選定項目 解説
出力電圧・電流 アプリケーションで要求される電圧・電流範囲を十分に満たしているか。
極性 正、負、あるいは両極性出力が必要か。
安定性・リップル 現象の安定性や再現性に直結する最重要項目。要求仕様を明確にする必要があります。
応答速度 動的な制御や高速なON/OFFが必要な場合、高圧アンプなどの高速応答電源が必須です。
制御性・インターフェース PCやPLCからの外部制御(アナログ、デジタル通信等)に対応しているか。
サイズ・形状 製品組込み(OEM)か、研究室でのベンチトップ利用か。
安全性・信頼性 高電圧を扱うため、出力保護機能や安全規格への準拠、長期連続運転での信頼性が重要です。

EHD応用における電源選定のポイント

電気流体力学(EHD)は、そのユニークな特性から、今後ますます多様な分野での活用が期待される技術です。そして、その性能を最大限に引き出すためには、心臓部となる高圧電源の性能が鍵を握ります。

松定プレシジョンでは、長年にわたり培ってきた高圧技術と豊富な製品ラインナップにより、EHDの基礎研究から量産製品への組込みまで、あらゆるフェーズでお客様の要求にお応えする最適な高圧電源ソリューションをご提案いたします。EHD用の電源でお困りの際は、ぜひ弊社までご相談ください。

(※電気流体力学(EHD)に関するこの文書は、生成AIによる文書を再編集したものです。)

電気流体力学に関する研究に弊社の高圧電源、高電圧アンプをご利用いただいております。

電気流体力学現象を利用した穀物乾燥技術の途上国における工業的適用可能性
使用製品:高電圧アンプ (HAP-10B10)
電気LayerPump: Electrohydrodynamicsポンプを内蔵した積層型3Dオブジェクトの設計手法とファブリケーション
使用製品:高電圧アンプ (HVBT-10)、卓上型高圧電源 (HJPQ-30P1)
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