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技術コラム

PLC制御とは何か、どうやって使えばいいのかとお悩みではありませんか?
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、工場やさまざまな産業の現場で使用される自動制御装置です。導入することで、効率的な電源制御やトラブルの早期発見ができます。

この記事では、PLCの基礎知識から、電源制御の具体例まで幅広く解説します。
初心者の方から実務で活用したい方まで、ぜひ最後までお読みください。

PLCの基礎

PLCは私たちの生活を支えるために、さまざまな場面で活用される重要なシステムです。
ここでは、「PLCとはどういうものか」について解説します。

PLC(Programmable Logic Controller)とは何か

PLCとは、Programmable Logic Controller(プログラマブルロジックコントローラ)の略称で、工場の生産ラインや病院、商業施設などの設備を自動で制御する装置です。

日本では三菱電機の商品名である「シーケンサー」と呼ばれることも多く、以下のように産業界で広く活用されています。

  • 工場のロボットやコンベア
  • 排水処理のためのポンプや電動弁
  • 遊園地の乗り物
  • 信号機やエレベーター

PLCの特徴は、プログラムによって以下の順序で動作を制御できることです。

PLCの制御順序|松定プレシジョン

センサーやスイッチからの入力信号を受け取り、あらかじめ設定されたプログラムに基づいて出力信号を制御し、連続したリアルタイムの処理を行います。

PLCの構成

PLCで制御を行うための構成は、主に以下の組み合わせです。

  • 1.ベースユニット
  • 2.電源ユニット
  • 3.CPUユニット
  • 4.入力ユニット
  • 5.出力ユニット

それぞれ解説していきます。

1.ベースユニット

電源ユニットやCPUユニット、I/Oユニットなどの各種ユニットを装着するための基盤となるユニットです。
主に以下の3つがあります。

種類 用途
基本ベースユニット 標準的な構成に対応
増設ベースユニット システムの拡張時に使用
高機能ベースユニット より複雑な制御や大規模システムに対応

2.電源ユニット

PLCの各ユニットに電力を供給するためのユニットです。
通常はAC電源を受け取り、内部の回路に適した電圧に変換します。

3.CPU ユニット

中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)の略でPLCの「頭脳」にあたる部分。
PLCのプログラムに従って外部からの入力信号を処理し、プログラムに従って出力装置を制御します。

4.入力ユニット

センサーやスイッチなどからの入力信号を受け取り、CPUに伝えるためのユニットです。
デジタル信号(ON/OFF)やアナログ信号(温度、圧力などの連続的な値)をPLCが処理できるデジタル信号に変換しCPUに伝達します。

5.出力ユニット

PLC本体からの制御信号を受け取り、外部の機器や装置を動作させるためのユニットです。
主に、モーター、バルブ、ヒーター、ランプなどの機器や指示の制御に使用されます。

PLCによる電源制御

PLCによる電源制御は、機械や設備の電源を自動で管理する技術です。
事前に設定されたプログラムに基づいて、電源のオン/オフや機械の動作を制御します。これにより、効率的な電力の使用と安全な運転が可能となりました。

概要

電源装置は、精密な制御と持続的な動作が必要な現代の産業やインフラにおいて、電気を供給して機器や装置を動作させるための基盤になります。

電子機器の小型化・高性能化に伴い、安定した電力供給が必要不可欠となりました。また、産業機器や医療機器などの高い信頼性が求められる分野では、機器の性能や安全性に直結するため、高品質の電源が不可欠です。
IoTやデータセンターの普及により、いつでも安定した稼働が求められる環境も増加しているため、電源装置の重要性はますます高まっています。

PLCを使った電源制御の重要性

PLCの役割は、機械や設備の電源を自動で管理し、安全かつ効率的に動かすことです。機器のオン/オフや電圧・電流の調整をプログラムによって制御します。

PLC で制御を行うメリットは以下の4つです。

PLCで制御を行うメリット
PLCで制御を行うメリット|松定プレシジョン

従来のリレー回路に比べて設置スペースが少なくなるため、制御盤も小型化できるようになりました。
また、プログラムの変更だけで簡単に調整できるため、システムの変更などにも対応しやすく、メンテナンスも簡単になっています。
PLCは安全で効率的な運用のために、さまざまな分野で広く活用されています。

PLCの利用例

PLCは複雑なプロセスを自動化し、さまざまな分野で活用されています。

以下に活用例をまとめました。

PLCの活用例
PLCの活用例|松定プレシジョン

PLCは各工程の同期や全体の制御を担当し、効率的で高品質な生産を実現します。

PLCから電源をアナログ制御する方法

アナログ制御は「細かく、正確に、すばやく」機械をコントロールする方法です。
ここでは、アナログ制御とは何か、アナログ制御の使用例などを紹介します。

アナログ制御の基本原理

アナログ制御は、電流(A)や電圧(V)をアナログ信号(連続的に変化する物理量)として用いる制御方式です。

アナログ信号では、連続的に電流(4-20mA、0-20mAなど)や電圧(0-10V)が変化します。その変化を利用して温度、圧力、電圧などの物理量を表示し、装置や機械の細かい出力調整が可能です。

アナログ信号を使った電源制御の実例

アナログ信号を使った制御は、さまざまな場面で使用します。

電圧(0-10V)でのアナログ制御は比較的低コストで導入が可能です。ノイズに弱いため制御機器と装置との距離が短い場合に使用します。

電流によるアナログ制御は、断線などにより通信できない場合に計器が0を表示するため、4-20mAの数値を使うのが主流です。比較的ノイズに強く、さまざまな用途で使用されます。
たとえば、水処理施設では水槽内の水位を電流(4-20mA)のアナログ信号を用いて制御します。

以下は、水処理施設でアナログ信号を使用した制御の一例です。

アナログ制御の実例
アナログ制御の実例|松定プレシジョン

アナログ制御を行うことにより、リアルタイムでの水位調整と管理が可能で、施設全体の制御と効率的な運用ができます。

松定プレシジョン製品の活用例

卓上サイズで最大1200Wの高出力を実現した直流可変電源装置「PKシリーズ」は、出力電圧や出力時間、出力時間の細かいコントロールが可能です。

エネルギー・環境、半導体製造など、さまざまな分野での研究開発から各種品質試験、生産設備に至るまで、幅広い用途で活用できます。

PLCからRS-232C/RS-485で電源を制御する方法

PLCから「RS-232C」や「RS-485」などのシリアル通信(データを順番に送信する通信方法)で制御を行うには、通信規格の適切な知識や通信設定、正確な制御プログラムの実装が必要です。

ここでは、「RS-232C」や「RS-485」の通信規格の概要と、シリアル通信のメリットを解説します。

RS-232C/RS-485とは?

「RS-232C」「RS-485」とは、どちらもシリアル通信の規格です。機器の接続数、通信距離、ノイズ耐性などによって使い分けられます。

「RS-232C」は短距離・低速通信に適しており、簡単な構成で低コストのため、短距離通信では現在も使用されています。主にPCと周辺機器(プリンター、モデムなど)を接続するために使用されてきました。

「RS-485」はRS-232Cの欠点を改善した規格です。産業用途など長距離・高速通信が必要な場面で広く使用されており、「工業用制御システム」「ビルオートメーション」「データ収集システム」などで広く利用されています。

RS-232C/RS-485による電源制御の特徴と利点

RS-232CとRS-485によるPLC制御での特徴とメリットは、以下の表のとおりです。

特性 RS-232C RS-485
最大ケーブル長(通信距離) 約15m 1.2km
ノイズ耐性 弱い 強い
接続可能デバイス数 1対1 最大32台
通信速度 低速 高速
メリット
  • シンプルな接続
  • 低コスト
  • 互換性が高い
  • 長距離通信
  • ノイズ耐性
  • マルチドロップ接続

RS-232Cは、1対1の短距離通信が求められる場合に適しています。長年使用され続けてきた規格で古い機器との互換性が高く、対応機器が非常に多いです。

RS-485は、長距離通信や多点接続が必要な場合に適しており、リアルタイム制御が求められる産業用ネットワークで優位性を発揮します。
また、産業機器間の通信に適した「MODBUS RTU」とノイズに強いRS-485を組み合わせることで、外部のノイズや電磁干渉を受けにくく、安定した通信が可能です。

松定プレシジョン製品の活用例

高い精度が求められるX線検査装置では、松定プレシジョンの電源技術が生かされています。
弊社の高圧電源装置と、コンピュータやPLCでコントロールするための通信アダプター「GP-OPT4-25」を使用することで、安全性、確実性の向上にも貢献し、検査や研究開発のスピードアップも可能です。

PLCからCCリンクで電源を制御する方法

CC-Linkは、制御機器間の通信を効率的に行うための規格です。
PLCとCCリンクを組み合わせることで、複数のデバイスを簡単に管理や制御ができます。

ここでは、CCリンクの特徴や具体的な使用例などを紹介します。

CCリンクとは?

CC-Link(Control & Communication Link)は、1990年代に三菱電機株式会社が開発したオープンフィールドネットワークです。
主にFA(ファクトリーオートメーション)分野で使用されています。

以下に特徴をまとめました。

項目 内容
名称 CC-Link(Control & Communication Link))
通信方式 マスタ・スレーブ方式※1
接続台数 64台のスレーブデバイス
通信速度 最大10Mbps
通信距離 最長1200m
主な特徴
  • 高速かつ安定したデータ伝送
  • 省配線化による工期短縮とコスト削減
  • 柔軟なシステム設計
  • 異なるメーカーの機器との互換性を確保

現在では「CC-Link協会」によって管理されており、世界中の多くの企業がサポートしている国際的な標準規格となっています。
※1マスタ・スレーブ方式とは:通信ネットワークにおける制御方式のひとつ。「マスタ(主装置=指令役)」が全体の制御を行い、「スレーブ(従装置=実行役)」がその指示に従って動作します。

CCリンクによる電源制御の特徴とメリット

CC-Linkを制御で使用する際の特徴とメリットは、以下の表の通りです。

特徴 利点
高速通信 高速なデータ伝送により、迅速な電源制御が実現し、システム全体の応答性が向上します
マスタ・スレーブ方式 スレーブ側の設定が不要で、システム構築が簡素化され、導入コストを削減できます
柔軟な拡張性 システムの成長に応じた柔軟な対応が可能で、将来的な設備投資を最小限に抑えられます
信頼性の高い通信 リアルタイム性が求められる電源制御において、信頼性の高いデータ通信が実現します
メンテナンス性の向上 故障時のダウンタイムを短縮し、生産性を向上させることができます。
ノイズ耐性 FA環境特有のノイズから保護され、安定した電源制御が可能になります
コスト削減 工期短縮やメンテナンスコストの低減につながり、全体的な運用コストを削減します

CC-Linkを使用することで、制御盤同士や制御盤から操作盤までの制御線の本数を格段に減らすことができます。

松定プレシジョン製品におけるCCリンク対応例

松定プレシジョンはCC-Link対応製品の開発ができるメーカー「CC-Linkパートナー」です。

松定プレシジョンの電源技術が生かして微少な電流設定・出力を可能とした精密めっき用直流電源「P4LTシリーズ」とCC-Link用インターフェース「-LCk」の組み合わせにより、めっき品質の向上に貢献しています。

EtherCATによる電源制御の方法

EtherCATは、高速で効率的な産業用イーサネットベースのフィールドバスシステムです。

ここでは、EtherCATについて解説していきます。

EtherCATの概要と特徴

EtherCAT(Ethernet for Control Automation Technology)は、2003年にドイツのBeckhoff社によって開発された産業用イーサネット規格です。現在はオープンな標準規格として、世界中の産業用機械、ロボット、工作機械などで広く利用されています。

EtherCATは、従来のフィールドバス(たとえば、ProfibusやDeviceNet)と比べて非常に高い通信速度と正確なリアルタイム性能を持ち、複雑な制御システムに対応できる特徴を持っています。また、既存技術の利用や、他のフィールドバスとの互換性も考慮されています。

EtherCATを使った電源制御の実例

EtherCATを使った電源制御の実例は、以下のものがあります。

EtherCATを使った電源制御の実例|松定プレシジョン
  • 1.産業用ロボットの制御:複数のアクチュエータ(モーター)やセンサを同時に制御し、リアルタイムでデータを取得する
  • 2.工作機械(CNCマシン)の制御:高精度な工作物の加工や3Dプリント時の複雑な動作パターンの制御する
  • 3.コンベアシステムの制御:物流業界や製造ラインでの搬送システムの制御。各セクションの速度・タイミングを同期させる
  • 4.風力発電システムのブレード角度制御:風力タービンのブレード(羽根)の角度を調整し、発電効率を最大化する
  • 5.AGV(無人搬送車)のフリート制御:工場や倉庫で複数のAGVを使った搬送業務を自動化する

EtherCATは、さまざまな産業分野で効率的で高精度な制御のために活用されています。

松定プレシジョン製品の活用例

クリーンな環境や製造過程での振動の少なさが求められる半導体製造の分野で、松定プレシジョン製の電源装置が活躍しています。

静電チャック用電源「HECDシリーズ」とイーサネット用インターフェース「-LEc」の組み合わせで、繊細な吸着やほこりの付着などを管理し、品質と生産性の向上が可能です。

PLCから産業用イーサネットで電源を制御する方法

産業用イーサネット(Industrial Ethernet)は、工場やプラントなどの産業環境での使用に特化した通信技術です。

ここでは、産業用イーサネットの概要や特徴を解説します。

産業用イーサネットとは?

産業用イーサネットとは、一般的なオフィス向けイーサネットを基に、産業での使用に最適化された通信プロトコル(規格)です。主に自動化やプロセス制御など、工場内のネットワークや生産データの通信に使用されます。

代表的なプロトコルは、前出のEtherCATのほかに以下の3つです。

  特徴 メリット
PROFINET(プロフィネット)
  • 世界で最も普及している産業用ネットワーク
  • リアルタイム通信による高速で確実なデータ交換が可能
  • 標準規格のため、互換性が高い
  • 互換性を確保しつつ、システムの柔軟な構築が可能
  • 一つのネットワークで複数の用途をカバーするため、設備投資や運用コストを削減
EtherNet/IP
  • 制御機器に特化したイーサネット
  • 汎用のネットワーク機器(LANケーブル、ハブなど)が使える
  • どのネットワークでも対応できる汎用性
  • 標準イーサネットが基盤のため、最新のEthernet技術に対応しやすい
Modbus-TCP
  • PLC向けの通信プロトコル
  • さまざまな産業機器と互換性があり、別メーカーの機器にも容易に対応
  • プロトコルがシンプルなため導入が容易
  • イーサネットを使用するため低コストで拡張しやすい

最近では、IIoT(Industrial Internet of Things)やIndustry 4.0といった概念により、産業用イーサネットの需要が急増してきました。これにより、より高度なデータ分析や遠隔監視が可能になり、生産プロセス全体の最適化が進んでいます。

産業用イーサネットによる電源制御の特徴と利点

産業用イーサネットによる制御は、高速通信によるリアルタイム性と温度変化や電気的ノイズなどに対する堅牢性が特徴です。

工場内の厳しい環境でも安定した動作や、効率的なエネルギー管理を行えます。さらに、ネットワークの拡張性により、大規模システムへの対応も容易で、生産効率の向上やコスト削減、安全性の確保に貢献します。

まとめ

ここまで、PLCによる電源制御の実例について詳しく解説してきました。
PLCとは、私たちの生活を支えるために、効率的な制御やトラブルの早期発見を可能にするための自動制御装置です。

PLCによる制御方法には、以下の方法があります。

  • アナログ制御
  • RS-232C/RS-485
  • CC-Link
  • EtherCAT

これらの制御方法は、これからの産業の発展には欠かせません。

松定プレシジョンは、半導体やエネルギー・環境、医療、EVのバッテリー開発など、モノづくりの発展に貢献する企業です。

研究や開発、製造などに必要不可欠な電源装置や、PLCを効果的に活用するための電源装置など、さまざまな分野で必要不可欠な電源装置を各種取り揃えております。

製品の導入をご検討の際には、製品のデモンストレーションを行っています。
各工程における制御や電源装置でのご相談がありましたら、お気軽にご相談ください。