電源に繰り返し同じ動作をさせたい。
動作の記録を残したい。
たくさんの電源を同時に動かしたい。
電源の動作を他の機器と連動させたい。
電源の出力電圧を少しずつ変化させたい。
このような場合、電源本体のフロントパネルで直接制御する方法は無理があります。
そこで必要になるのが「リモート制御」です。リモート制御とは、電源機器などを通信ケーブルでPCに接続して制御する方法です。しかし、リモート制御を行うには、PC側に制御用ソフトウェアを用意する必要があります。
制御用ソフトウェアを作るにはプログラミングを行う必要がありますが、専門知識が求められる敷居の高い作業になります。そこで本コラムでは、その敷居が少しでも低くなるように、リモート制御やプログラミング言語、ドライバについて分かりやすくご案内します。
図:制御用ソフトウェアと電源機器
通信ポート
PCから電源などの機器を制御する場合、それぞれの通信ポートにあった通信ケーブルを用意する必要があります。通信ポートには、下記のようなものがあります。
接続台数や通信速度、通信距離、接続のしやすさなど、用途に応じて選択してください。
また、電源本体に汎用の通信ポートがない場合、専用のアダプタを介して接続する必要があります。
※電源のカタログおよびデジタルコントローラカタログをご参照ください。
- 一般的な
通信ポート
LAN(イーサネット※)
USB
GPIB(IEEE488.2)
RS-232C
RS-485
※イーサネットは富士ゼロックス株式会社の登録商標です。
制御用ソフトウェア
制御用ソフトウェアを用意するには、独自にプログラミングして作るか、機器メーカーの用意した制御用ソフトウェアを入手する方法があります。
弊社でも、電源・電子負荷用シーケンス制御ソフトウェア PSS2や充放電電源用ソフトウェアECD-BCを用意しています。これらのソフトウェアでは、シーケンス制御や複数台の制御、動作の記録などを行うことができます。(詳しくはそれぞれのカタログをご覧ください)
しかし、計測器やリレーの制御、複雑なシーケンス制御を行う場合、お客様にて制御用ソフトウェアのプログラミングを行っていただく必要があります。
プログラミング言語
制御用ソフトウェアを作るには、プログラミング言語が必要になります。
(プログラミング言語は、過去から現在まで数多くのものが開発されています。)
プログラミング言語は、使用するPCのOS上で動作するものを用意する必要があります。
また、プログラミングする上で、プログラミング言語に合致したドライバやサンプルプログラムが用意されているものを選択することが制御用ソフトウェア完成の近道になります。
制御用ソフトウェアの構造
制御用ソフトウェアを作る際にはソフトウェアの構造を知っておく必要があります。一般的にはこのようになります。
制御方法は次の3つに大別できます。
- OSのI/Oに直接アクセスし制御する方法
- VISAライブラリのI/Oにアクセスし制御する方法
- IVIドライバを使ってアクセスし制御する方法
それぞれの方法にメリット・デメリットがありますが、最近は②のVISAライブラリで使用されるコマンドの1つであるSCPIコマンドや③のIVIドライバといった標準定義を使った制御が増えています。
制御用ソフトウェアのプログラミングに標準定義を使用することは、次のメリットがあります。
- デバイスメーカーに依存しないプログラミングが行えるため、移植性や汎用性が高くなる。
- ポートの違いなどをあまり気にすることなくプログラミングができる。
- 電源や計測器など種類の違うデバイスを同一プラットフォームでプログラミングすることができる。
IVIドライバ
前述の「制御用ソフトウェアの構造」で触れたIVIドライバについて解説します。
- IVI規格では「計測器クラス」が定義されています。
これにより同一クラスの計測器は同じコマンドで使用することができます。
また、クラスに依存しない共通の機能も定義され、共通性のあるプログラミング環境は大きなメリットになります。 - IVIドライバは多くのプログラミング言語をサポートしています。
次に示すプログラミング言語をサポートすることにより、ほぼすべてのプログラマに対応しています。
■松定プレシジョンの製品では直流電源PRKシリーズやPRKJシリーズなどが
IVIドライバに対応しています。
IVIドライバが対応しているプログラミング言語やソフトウェア開発ツール
- LabVIEW
- Visual Basic
- Visual C#
- Visual C++
- Visual Basic .net
- Excel VBA
- MATLAB
- Lab Windows
- Measure Foundry
- VEE
- Delphi
etc...
プログラム作成のサポート
ここまで、リモート制御用ソフトウェアを作るための事前説明を行ってきました。
次にリモート制御用ソフトウェアを作る作業に入っていきますが、ここで役に立つのが、サンプルソフトウェアやチュートリアル、プログラミングガイドです。弊社でも、プログラミングがスムーズに始められるように、電源機器の取扱説明書にサンプルプログラムを記載しています。また、LMi Visual Basic、Visual C#、Visual C++のプログラミングガイドを用意しています。
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