クリーンベンチとは、空気中や周囲のゴミ、ちり、ホコリ等が作業対象物に付着、あるいは混入しないように管理された囲いのついた作業台です。高性能エアフィルタ(HEPAフィルタ)を通した清浄空気を作業対象物に対して直接流れるようにすることで、清浄度の低い室内でも局所的に高い清浄度をつくり出すことができます。主に工場や研究所で使用されます。
似ている装置に安全キャビネットと呼ばれるものがありますが、クリーンベンチは内部を陽圧(ようあつ)にしています。そのため、空気を囲いの外側に押し出す形で、塵埃のきわめて少ないクリーンな状態をつくることが可能です。
クリーンベンチの種類
クリーンベンチには、作業内容に応じてさまざまな機能が付加されています。
- 装置組み込み型
- 作業台を取り外して床置きの装置が組み込まれています。
- 乾燥型
- 赤外線ランプがついていて作業台で乾燥がおこなえます。
- 無振動型
- 作業台と本体が離れているので振動が直接伝わらない
- ライトテーブル型
- アクリルやガラスなどを組み合せた作業台面に蛍光灯が組み込まれています。
- 給排水型
- 作業台の一部または全面が流しになっていて正面に給水栓があります。
- 排気型
- 作業台の一部または全面で排気が可能です。
- 循環型
- 清浄空気を循環させます。
クリーンベンチの原理
クリーンベンチは、土台となる机と、囲いを形成する前面壁と屋根および左右の壁から構成される箱型の装置です。手を装置内に差し入れて作業をします。外部から吸いこんだ空気をフィルタに通してチリやホコリを除去し、清浄にしてからベンチ内部に送り込んでいます。
クリーンベンチには正面の壁面から前方へ空気を吹き出す水平送風型と、天井面から下向きにに空気を吹き出す垂直送風型の2種類があります。水平送風の場合、作業をしている腕や器具の周辺に空気が滞留して十分なクリーン度が得られないことがあります。そのため、松定プレシジョンのクリーンベンチでは主に垂直送風型を採用しています。(お客様のご要望により水平送風型にも対応可能です)
クリーンベンチの構造はJIS B9922の規定で決められています。
JIS B9922の規定
- 保守・点検および整備が容易にできる構造
- 作業空間の壁面は、容易に剥離(はくり)およびサビを発生しないもの
- ろ過されていない空気が作業空間に流入しない構造
- クリーンベンチ本体が接地可能な構造
- メインのエアフィルタはHEPAまたはULPAフィルタでなければならない
- フィルタは通常の空気条件において、容易に変質および腐食しないもの。保守は整備・交換のために容易に脱着できるものとする
- 酸・有機溶剤・生物粒子・有毒ガスなどを取り扱う業種の場合、これらを含んだ空気が所定の経路から排気できる構造
- 防爆構造のものはJIS C 0903に規定する構造
- 照明灯と殺菌灯を備えているものは受渡当事者間の協定がない限り、同時に点灯してはならない
クリーンベンチの使い方
使い方はいたってシンプルです。手を十分に洗った後、アルコール消毒をして、クリーンベンチの中で使うものも全て消毒しましょう。フィルタのスイッチをONにして、差し込み口から手を入れて作業を行います。正面が開いているタイプやシャッターを下ろすタイプのクリーンベンチもあります。シャッターがあるものについては、作業できる程度までシャッターを下ろしましょう。
クリーンベンチ選びのポイント
選定する前に使用目的を明確にしておきましょう。何のために使うのかをハッキリさせておけば、適切な商品を選ぶことができます。
- 使用目的に合っているか
- 設置スペースに合ったサイズか
- 予算内に収まるか
- 清浄度・気流・重量は要求される仕様を満たしているか
- 集塵(しゅうじん)効率・効果などの性能は十分か
おすすめのクリーンベンチ
松定プレシジョンのクリーンベンチは、用途やスペースに合わせて自由に設計が可能です。軽量ながら高強度を誇るアルミフレームを使用し、さらにキャスタを備えているので設置後の移動もカンタンです。ローコストで手軽に導入することができます。