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技術コラム

アンプのゲイン(利得)の回路図です。

四象限出力

上図は、±10Vの電圧が±10kVの電圧になる、すなわち入力された電圧を1,000倍に増幅して出力(高圧増幅)することができるアンプ(Amplifier、増幅器)を表しています。アンプは基本的に出力電流のシンク(吸い込み)機能があり、容量性負荷や誘導性負荷およびこれらの複合した負荷であっても定電圧動作が可能です。しかも高速に応答しますので、まさに理想的な電源と言えます。
松定プレシジョンの高圧アンプは、片極性タイプは二象限出力(PタイプはⅠ・Ⅳ、NタイプはⅡ・Ⅲエリア)、バイポーラ出力タイプでは四象限(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳエリア)フルに出力可能です。また、全ての製品でリニアアンプ方式を採用し、高速応答を極限まで追求しています。

四象限出力イメージ図です。

Vo max 定格出力電圧
Io max 定格出力電流

四象限出力イメージ図です。

スルーレート

HAPシリーズHEOPSシリーズ・HEOPTシリーズHJOPSシリーズHOPSシリーズでは、応答性をスルーレート(Slew Rate、SR)で規定しています。従ってステップ応答は図のようになります。

スルーレートは単位時間当たりの電圧変化量でSR=△V/μsと表わされ、出力振幅が小さい場合には応答時間は短くなります。 HAPシリーズは最高でSR=700V/μs以上、 HAPSシリーズは最速SR=1200V/μs以上を達成している超高速電源です。

スルーレート(入力信号に対する出力電圧の単位時間あたりの変化量)です。

応答速度

HEOPシリーズHOPPシリーズの応答性については周波数帯域で規定しています。定格抵抗負荷にて出力を正弦波でフルスイングさせた場合、入力周波数が速くなるとアンプが追従できず出力振幅が減少していきます。出力振幅が70%(=-3dB)になる周波数fcを以って応答速度としています。

正確な出力波形を必要とされる場合には、使用周波数よりも十分に高い周波数帯域をもつ高圧アンプを選択してください。
通常、正弦波で使用する場合では3~5倍、矩形波で使用する場合では10倍くらい速い周波数帯域が必要です。周波数帯域が不足しますと、出力振幅が減少するだけでなく入出力位相差が大きくなりますので、出力波形をモニタして使用するなどの注意が必要になります。

応答速度(周波数帯域にて規定)です。

立上がり時間

(ステップ応答)…応答性を立上り時間で表現することもあります。
一般的に応答速度(=周波数帯域)fc(Hz)のアンプの立上り時間はtr≒0.35/fcで求められます。
立下り時間tfはtrと同じです。

立ち上がり時間イメージです。

容量負荷について

100pF以上の容量負荷(出力ワイヤの浮遊容量も含めて)の場合、出力振動を起こす場合があります。その場合は、100Ω(0.1μF時)~1kΩ(1000pF時)の高圧抵抗を出力にシリーズに挿入してください。また、容量負荷では右の式により周波数帯域が制限されますので注意してください。またコロナ放電等でお使いの場合、定格以上の電流が流れ電源に悪影響を及ぼします。この場合も容量負荷と同様に出力抵抗をつけて電流を制限してください。
※高圧アンプの出力振幅が低下するような高周波での連続使用は避けてください。内部損失が増加し、故障の原因となります。

容量性負荷持続時の周波数帯域です。

高速・高圧アンプの性能をフルに生かすには・・・

高圧アンプの出力線は、ノンシールドタイプを使用しています。出力線が対地(グラウンドや金属物等)と浮遊容量を持つと、出力が交流波形やステップ波形の時に充放電電流となって余分な電流が流れることになります。
この電流は負荷と並列に流れるため(1)スルーレートや応答速度が低下する。(2)出力波形が歪む、変形する。といった現象が出ることがあります。

HVアンプの漏れ電流 概念図