技術コラム

クレストファクタとは波高率のことで、交流電源やバイポーラ電源での品質パラメータの一つとなっています。
電気の世界では、商用交流電源から供給される電流の状態(コンセントに電気機器を繋いだ際に流れる電流の状態)を示すのに使われていて交流波形の実効値に対するピーク値の比率で示しています。

式で表すと次式で表わせます。

各波形のピーク値を1とした時の値
波形 実効値
(RMS値)
平均値 波形率 クレストファクタ
(波高率)
DC DCイメージ図 DCの実行値は1 DCの平均値は1 DCの波形率は1 DCのクレストファクタは1
正弦波 正弦波形 正弦波の実行値は0.707 正弦波の平均値は0.637 正弦波の波形率は1.11 正弦波のクレストファクタは1.414
全波整流正弦波 全波整流正弦波形 全波整流正弦波の実行値は0.707 全波整流正弦波の平均値は0.637 全波整流正弦波の波形率は1.11 全波整流正弦波のクレストファクタは1.414
半波整流正弦波 半波整流正弦波形 半波整流正弦波の実行値は0.5 半波整流正弦波の平均値は0.318 半波整流正弦波の波形率は1.571 半波整流正弦波のクレストファクタは2
三角波 三角波形 三角波の実行値は0.577 三角波の平均値は0.5 三角波の波形率は1.154 三角波のクレストファクタは1.732
のこぎり波 のこぎり波形 のこぎり波の実行値は0.577 のこぎり波の平均値は0.5 のこぎり波の波形率は1.154 のこぎり波のクレストファクタは1.732
方形波 方形波形 方形波の実行値は1 方形波の平均値は1 方形波の波形率は1 方形波のクレストファクタは1
PWM信号 PWM信号波形 PWM信号の実行値はルート(t1/T) PWM信号の平均値はt1/T PWM信号の波形率はルート(T/t1) PWM信号のクレストファクタはルート(T/t1)
波形率=実効値/平均値
クレストファクタ=ピーク値/実効値

普段、電気製品をコンセントにつなぐ際に電流値を気にする事は殆どありません。ましてやクレストファクターを意識することは、なおさらないでしょう。
では何故、クレストファクターを考慮する必要があるのでしょうか?

クレストファクタが高い状態を"力率が悪い"と言い、以下のような問題を引き起こすことがあります。

  • 受電設備での発熱、焼損
  • 電子機器の誤動作
  • 皮相電力が大きくなり入力電流が増加

クレストファクタが高い状態は上の式を見て分かるように、分子のピーク値が大きいほどクレストファクタの値が大きくなります。ピーク値が高い波形とは下図のような電流が鋭く尖ったような流れ方をするときに起こります。
これは主にコンデンサインプット型と言われる回路方式を用いた際に現れます。

クレストファクタ

鋭く尖った電流はコンデンサに大きな電流を流します。そして繰り返し大きな電流が流れたコンデンサは唸り音がしたり、発熱や時には焼損に至ることがあります。これが1番めの問題点です。

また、鋭く尖った電流波形は高い周波数成分を含みます。
電子機器の中には高い周波数成分に反応し誤動作を引き起こすこともありえます。

3番めは式からも分かるようにクレストファクターが高いとピーク電流が大きいため、配線もそれに応じて太くする必要があります。クレストファクタを考慮せずに、電流=電力/電圧で求めてしまうと配線の電流容量が不足し発熱の原因や配線のインピーダンスにより電圧波形の歪にもつながります。

これらの欠点を防ぐため、力率改善回路(PFC)を利用し、入力電流を正弦波に近づけて、ピーク電流を低減させる機能があります。
しかしPFCにも効率があるのでその選択は一長一短です。使用環境や使い方を含め当社の営業担当に相談頂ければお客様にマッチした電源をご提案いたします。

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