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用途・事例

 

質量分析とは?

質量分析 (MS:Mass Spectrometry)とは、測定対象を構成する原子や分子の組成や量を、分子量を測定することによって分析する技術です。質量分析を行うには、測定対象物をイオン化し、イオンを分離して検出する必要があります。イオン化と質量分離にはいくつかの方法があります。測定対象物の状態(固体、液体、気体など)、測定成分(有機物、無機物など)、測定目的によって使い分けられます。
非常に高い感度と広い測定範囲から、医薬品、環境分析、プロテオミクスなど幅広く利用されています。

質量分析装置

質量分析計は、大きく分けて3つの要素で構成されています。イオン化部で試料をイオン化し、アナライザー部で試料を質量ごとに分離し、検出部でイオンを検出します。
質量分析には、試料導入にガスクロマトグラフ(GC)を使用するガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)があります。ほかにも、液体クロマトグラフィー(LC)を用いる液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)や、結合誘導プラズマを用いる結合誘導プラズマ質量分析(ICP-MS)などがあります。

イオン化部

イオン源とも呼ばれるイオン化部には、以下のようなイオン化方式があります。

  • 電子イオン化法(EI: Electron ionization )
  • 化学イオン化法(CI: Chemical ionization )
  • 大気圧イオン化法(API: Atmospheric pressure ionization)
  • エレクトロスプレーイオン化法(ESI: Electrospray ionization)
  • 大気圧化学イオン化法(APCI: Atmospheric pressure chemical ionization)
  • マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI: Matrix-assisted laser desorption ionization )
  • 二次イオン質量分析装置(SIMS: Secondary Ion Mass Spectrometry)

それぞれのイオン化法は、測定対象が有機化合物か無機化合物か、また測定対象が固体か液体か気体かなどの形態によって用途が限定されます。

質量分析部

質量分析器と呼ばれる質量分離部では、質量電荷比(m/z)によりイオンを分類・分離します。レンズの電圧によって特定のイオンを分離します。質量分析計部では、以下の方式がつかわれています。

  • 四重極型質量分析計(QMS: Quadrupole Mass Spectrometer)
  • 二重収束型質量分析計(セクター質量分析計)
  • 飛行時間型質量分析計(TOFまたはTOF-MS、TOFMAS: Time-of-Flight Mass Spectrometer)
  • 四重極イオントラップ(QIT: Quadrupole ion trap)
  • イオントラップ質量分析計(Ion trap mass spectrometer)
  • フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析計(FT-ICR-MS: Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance Mass Spectrometer)

イオン検出部

イオン検出部は、質量分離部で分離された特定のイオンを検出します。アナライザー部のレンズ電圧を掃引することで、m/z比と相対強度(relative abundance)のマススペクトルを得ることができます。
質量分析計には、以下の検出器が使用されています。

  • マイクロチャンネルプレート(MCP: Microchannel plate )
  • 電子増倍管(EM tube: Electron multiplier tube)
  • 二次電子増倍管(チャンネル電子増倍管 CMT: Channel Electron Multiplier )

イオン化部、アナライザー部、試料導入部の組み合わせで、Q-TOF、MALDI-TOF、LC-TOF、GC-TOFなどと呼ばれています。また、MS/MSのように2台の質量分析計を直列に接続し、コリジョンセル(衝突セル)を用いた装置もあります。

質量分析の模式図

質量分析用高性能電源

質量分析計には、多くの種類のイオン化部や質量分離部を組み合わせた様々な機器があります。これらの機器に使用されている電源の性能も様々です。質量分析計に使用する電源は、分析精度に影響を与えないよう、高安定、低ノイズであることが重要です。特に、質量分離部で使用する高圧電源は非常に高い性能が要求されます。

質量分析用高圧電源

各種質量分析装置の電源要件に対応するため、豊富なラインナップを取り揃えています。質量分析計のプッシャー、リフレクター、チューブバイアス、エクストラクター、ディテクター、アナライザー、レンズ、イオントラップ、アクセラレーターと呼ばれる電極用の高圧電源を生産しています。松定プレシジョンは、お客様のご要望にお応えできる高性能な電源を提供しています。

以下の製品はほんの一例です。

高圧電源のカスタム品にも対応できますので、お問い合わせください。

アプリケーション シリーズ 特徴
イオン加速器用 HMBR-Rシリーズ
  • 高い安定性(10ppm/5min.)
  • 温度係数が優れている(25ppm/℃)ため、より精密な分析が可能です。
  • 極性反転機能により、1台で2つの用途に使用可能。
    (+イオン/ーイオン、+出力/ー出力)
HMASS-Rシリーズ
  • 高い安定性(10ppm/Hr.)
  • 外部信号による出力極性変更
  • 出力電圧・電流モニター
HMASシリーズ
  • 高い安定性(10ppm/5min.)
  • 超低ノイズ 10 ppm (P-P)
  • 出力電圧、電流モニタ
EMやMCPなどの検出器用 HPMQシリーズ
  • 超低ノイズ出力(1mVp-p)により、高S/N比に貢献します。
  • 高い安定性 (15 ppm/15 min)
  • 温度係数が優れている(20ppm/℃)ため、より精密な分析が可能です。
OPTON-Aシリーズ
  • 金属ケースのシールドによる低ノイズ化
  • リモート出力ON/OFFも可能
  • 可変抵抗または外部電圧で制御が可変
関連用語:
  • イオン化
  • 熱電子
  • トンネル効果
  • 磁場
  • 検出器
  • 加速器質量分析
  • 飛行時間型質量分析計(TOF)
  • 四重極型質量分析計