技術コラム

感電時の対処と高電圧の取り扱い トップ画像

そもそも感電とはどういう状態?

感電とは、電流が人体に流れて衝撃を受けることです。冬場にドアノブに触れたときや、衣類を脱いだときに「パチッ」となる静電気も感電の一種です。また、デンキウナギやデンキナマズ、シビレエイのように電気を発生させて感電させようとする生物もいます。

電気が通っている電線や機器に触れて体を伝って地面に電気が流れたときや、2本の電線に同時に触れたときに感電が発生します。静電気の場合は、体の動きに伴って衣類が帯電し、ドアノブのような電気を通す物体に触れようとした際に指先から物体を通して地面に電気が流れていきます。

電圧がかかっていても電流が流れなければ感電はしません。漏電対策としてアース線(接地線)を取り付けるように、地面は電気が流れ込みやすい場所です。そのため感電事故の多くは、電気が体を伝って地面へと流れることで発生します。

また感電の症状は電圧ではなく、体に流れた電流の量や、電流が流れた場所によって変わります。過去には35Vでも死亡事故につながったケースもありますので、電圧が低くても油断してはいけません。

流れる電流が1~5mA程度ならば、静電気と同じくらいの痛み程度で済みます。しかし流れる電流が50mA以上になると死に至る恐れもあります。厚生労働省が公開している労働災害統計では、2019年における感電による死傷者数は89人で、そのうち3人が亡くなっています。

感電による労働災害は、発生件数こそ少ないものの、死亡災害となる可能性は低くありません。

感電時の対処

もしも感電事故が起こってしまった場合、身体にどのような影響があるのでしょうか。電流の強さによる症状は以下の通りです。

1mA ピリッとくる程度
5mA 結構な痛みを感じる
10mA 耐えられないほどの痛さ
20mA 筋肉が激しく収縮し、感電を引き起こしている物から離れられない
50mA 短時間でも死に至ることがある
100mA 致命的な結果になる

感電の主な症状はやけどです。人体の抵抗値は数キロオームになり、電流が流れる際に熱を発するためで、やけどは皮膚の表面だけでなく、内臓におよぶこともあります。また神経信号は微弱な電流であるため、神経の伝達が阻害されて不整脈や心停止、意識消失を引き起こす場合もあります。

特に皮膚が濡れている場合には皮膚の電気抵抗が下がり、体の中に電気が流れこみやすくなるため危険です。濡れた手で電気機器に触れてはいけないのは、このような理由もあります。

もしも自分が感電し、やけどなどが見られる場合には、すぐに病院に行きましょう。内蔵の損傷や感電の衝撃による外傷、筋肉の急激な収縮により脱臼や骨折を起こしている可能性もあります。

また、他人が感電しているのを発見したら、直接触って助けようとしてはいけません。感電している人に触れると、感電している人に流れている電流が救助者にも流れてくるため、救助者も感電する連鎖感電が発生してしまうからです。

2015年には連鎖感電により多くの人が感電する事故も起きています。感電者を救助する際には、ブレーカーを切ったりコンセントを抜いたりし、電気の流れを遮断しましょう。

やむを得ず通電を切らずに感電者を電源から引きはがす際には、決して素手で触ってはいけません。乾いた板やゴムのような絶縁体の道具を使いましょう。

感電しないようにするには

感電を防ぐためには、絶縁が常に正しく行われている必要があります。コードをはじめとした回路の損傷に気をつけ、定期的に保守点検を行いましょう。

また、濡れた手で機器に触れると、水を介して感電する可能性があり危険です。電気機器に触れる際には乾いた手で行い、絶縁手袋を利用しましょう。絶縁ドライバと呼ばれる、絶縁性のある樹脂でコーティングされた工具もあります。

絶縁が正しく行われないケースに備え、アースをとったり、漏電遮断器をつけたりするのも大切です。事前に電気を地面に逃がしたり、漏電を察知して電源を遮断したりすることで、感電事故を防ぎます。

工事や修理で回路に触れる際には検電器を使う方法もあります。検電器は、対象とする部位が通電しているか停電しているかを検知する機器です。検知部を対象部位に当てて使用します。

被膜電線にも使え、対象とする電圧により、種類や形状が異なります。検電器を用い、触れようとしている部位が通電していないと確認してから作業を行えば感電を防げます。

電気は目に見えません。そのため、感電を防止するためには正しい知識と使い方を学ぶ必要があります。電気工事の現場では、VRで感電のシミュレーションなどを使って電気の安全教育を行っています。

高電圧感電について

AC42V(DC60V)以上の電圧を高電圧と呼びます。電圧が高くなると、通電している部位に触れなくても感電する恐れがあるため注意が必要です。まるで落雷のように、離れた部分にも電気が流れる可能性があるためです。

2019年には鉄塔に登った学生が高圧電線からの電撃によって死亡する事故もありました。また、鉄道の駅のホームで自撮り棒の使用を禁止されているのは、架線から放電され、感電する恐れがあるからです。また、電気自動車やハイブリッドカーも高電圧化されているので、水没や事故などの際には注意が必要です。

高電圧による感電を防ぐには、通電部から安全な距離を取るのが最も確実です。関係者以外は、高電圧充電部には近づかないようにしましょう。また、高電圧の電源を取り扱う場合は安全に関する各種注意事項を遵守しましょう。

高圧電源の安全な取り扱いに関する情報は、下記ページでも紹介しています。

(2020/7/9)

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