技術コラム

電気には直流と交流がある

電気の流れには2つの方式があります。直流(DC)と交流(AC)です。
直流とは、川の流れにも例えられるように、常に一定の方向に向かって電気が流れる方式です。電池やバッテリー、太陽電池などから得られる電気の流れのことをいいます。
一方で交流は、プラスとマイナスが常に周期的に入れ替わり、それにともない電気の流れの方向も常に変わっていく方式です。発電機やコンセントなどから得られる電気の流れです。発電所で作られ、家庭に送られる電気も交流が送電されています。
直流と交流の電気が流れる様子を図にすると下記のようになります。

電気には直流と交流がある

直流は電圧が常に一定していて、一定の方向に電気が流れるものです。対して、交流は電圧が周期的にプラスからマイナス、マイナスからプラスへと変化するので、それに合わせて電流の向きも周期的に変化しています。
直流と交流はどちらが優れているということはなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。電気を使用する目的や機器によって、それぞれの特徴に合った電流、電源が選択されています。

直流電源の特徴

常に一定方向に電気が流れる直流には、次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 回路に進みや遅れがない
  • 無効電力が発生しない
  • 蓄電できる

デメリット

  • 電流遮断が難しい
  • 電圧変換しにくい
  • 電食作用が強い

交流では、常に電流の向きが入れ替わります。そのため、例えばコンデンサ成分やコイル成分などが回路に含まれる場合、電圧の挙動に対し負荷に流れる電流に遅れや進みが発生します。
しかし直流ならば常に電圧も電流の向きも一定しているため、コンデンサやコイルなどの挙動も常に一定です。したがって直流では回路に進みや遅れが発生しません。
また交流では電流の向きが入れ替わるために、全ての電気が負荷を通るわけではなく、負荷と電源の間を往復しているだけの電力が発生してしまいます。これを無効電力といいます。
直流では、電流は常に一定方向に流れているため、全ての電気が負荷を通過します。ところてんが押し出されていくイメージです。そのため無効電力が発生せず、効率よく電力を利用できます。
直流は電池やバッテリー、コンデンサなどによって蓄電できるのもメリットです。

無効電力

一方で直流にもデメリットがあります。その一つが、電流遮断が難しいことです。直流は常に一定の電圧がかかっているため、特に電圧が高い場合、遮断の瞬間にはアーク(火花)が発生したり、周囲に感電の危険が発生したりするなどの問題が起こります。
交流の場合には、電圧がプラスからマイナス、マイナスからプラスに切り替わる際に瞬間的に電圧が0になります。電圧が低いときを狙えば、直流よりも安全に電流遮断できるのです。
また直流の電圧を変換する際には、一度交流に変換し、再び直流に戻す必要があります。そのため、直流の電圧変換装置は交流よりも大がかりでコストがかかります。
送電に必要な地下パイプやがいしの腐食が激しいのも、直流のデメリットです。直流では常に同じ方向に電気が流れ続けるため、静電誘導や電食作用により送電機器の腐食が進みます。
電池やバッテリー、コンデンサなど、蓄電されたものから出てくるのは直流です。そのため電池で動く製品は直流に対応しています。
一方、一般の家庭の電源は交流電流ですが、パソコンのような電子機器やテレビなどの家電で使われているのは直流電流です。このような機器を動かす場合には、コンセントからの交流をコンデンサなどで直流に変換し、使用しています。
しかし、直流電流がメインで使用されるデータセンターなどでは、交流から直流へ変換する際のロスを減らすため、直流給電の普及が進められています。

交流電源の特徴

電圧がプラスとマイナスで周期的に変化する交流には次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 高圧送電による電力損失が少ない
  • 変圧しやすい
  • 通電中の遮断がしやすい
  • プラスとマイナスを気にしなくていい

デメリット

  • 目標電圧よりも高い電圧が必要
  • コイルやコンデンサの影響を受ける
  • 超長距離の送電には向かない

特に発電所から都市部にといった長距離送電を行う際には、送電効率向上のため60万V(ボルト)という非常に高い電圧での送電が行われます。低圧での送電では電力損失が大きくなってしまうからです。
なぜなら、同じ長さ の電線(抵抗)に対し、同じ時間電気を流した場合、電流の2乗に比例した熱が発生します。熱は外へ逃げてしまうエネルギーなので、電力損失です。
例えば3000W(ワット)の電力が必要だった場合、電圧が100Vの場合は30A(アンペア)の電流が必要ですが、電圧が1000Vであれば3Aの電流で済みます。
つまり電圧を10倍にすれば電流量は1/10になり、それにともない電力損失は1/10の2乗、1/100に減らすことができるのです。そのため、長距離送電では非常に高い電圧での送電が行われています。
もちろん、そのままの電圧では家庭やオフィスなどで利用できません。供給される電圧は、大きな工場では10万V、ビルなどでは6600V、家庭や会社などには200Vまたは100Vです。
したがって発電所から送られてきた電気は、地域や場所に合わせて電圧を下げる必要があります。
交流は直流に比べ、トランスを利用した変圧器で容易に変圧できるため、インフラとしての電力供給に適しています。

トランス利用した変圧器の原理

交流では周期的に電圧が0になるタイミングが訪れるため、通電中の遮断が容易なこともメリットです。
また家庭用電源(コンセント)のように、プラスとマイナスを区別せずに使え、接続する機器や操作を単純化することもできます。
一方、交流は常に電圧の値が変化しており、電圧が0になるタイミングもあるため、必要な熱量に対し、目標電圧よりも高い電圧が必要になります。
交流の電圧の波形は正弦波を描いていて、最大電圧は実行値の√2倍です。絶縁性能や機器のスペックは実効値よりも高い性能が求められます。
また交流の特徴は、コイルやコンデンサに影響を強く受けることです。コイルやコンデンサでは、電流の方向とは反対の方向に電流を流すような電圧が発生するため、回路の電流に進みや遅れが発生します。
発電所で発電され、送られてくる電気は交流です。発電所では、交流の波形を120度ずつずらした3つの波を同時に送り出します。このような電気を三相交流といいます。

三相交流

交流には一相交流と三相交流があり、特に高圧の送電に使われるのは三相です。家庭用のコンセントに送られる際には、電圧の変換と共に一相へと変換されています。
交流は一般の電源(コンセント)で用いられ、掃除機や換気扇のように繊細な制御を必要としないモーターにはそのまま使用されています。
逆に、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などのモーターは、交流電源をそのまま使わずにインバータなどで細かな制御を行っています。

(2021/03/26掲載 斎藤)