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技術コラム

定電圧電源と定電流電源はどう違う? トップ画像

定電圧電源と定電流電源について

「電源」とは電気エネルギーを負荷に供給する装置のことで、「電圧源」と「電流源」があります。一般に「電源」というと電圧源を意味するケースが多いですが、電流を供給する電流源もあります。
入ってきた電気を必要な形に変換して出力する電力回路を「電源回路」と呼び、電圧の変換器や、交流-直流変換器も電源回路の仲間です。電源回路は「定電圧電源」と「定電流電源」に大きく分けることができます。

定電圧電源

定電圧電源は、出力電圧を常に一定に制御する電源回路です。負荷に関わらず、常に一定の電圧を供給し、電子回路などの電源に広く利用されています。
電子回路の多くは電圧が意図しない形で変動すると正しく動作できないため、一定の電圧で動作するように設計されています。

定電流電源

一方、定電流電源は、出力電流を常に一定に制御する電源回路のことです。定電流電源は、LED照明の電源や二次電池の充電などに使われます。
LED照明の輝度は電流値で決まるため、電流値が変動するとそれに伴って明るさが変化してしまいます。小さなLED画面程度であればあまり問題にはなりませんが、大きな照明などの場合、明るさの変化が目に見えてしまうため、安定した電流が必要になります。
また二次電池を充電する際は、二次電池の特性から電圧と電流が比例しません。そのため定電流電源を使用し、電池にかかる電圧に関わらず電流が供給されるようにします。

電圧源と電流源の変換

なお、電圧源と電流源は相互に等価変換できます。負荷に対してかかる電圧と負荷を流れる電流が同じ場合、電圧源と電流源は同じ価値や働きをもつものとして機能するためです。
つまり、電圧源は負荷に対して同じ働きをする電流源に、電流源は負荷に対して同じ働きをする電圧源に等価変換することができます。

定電圧電源と定電流電源はどう違う? 等価変換

可変スイッチング電源

電源の中には、モードを切り替えてさまざまな出力を可能にする「可変スイッチング電源」があります。定電圧(CV)モードや定電流(CC)モードの他に、定電力(CP)モードや定抵抗(CR)モードなど、用途に応じた出力が可能です。

安定化の原理

定電圧源の回路を下に示します。電圧源には電源と内部抵抗が含まれ、電源と直列に繋がっています。端子電圧VLは次の式で表されます。

VL

E0 ×

RL

r0+RL

 

VL=E0 ×

 

   RL

 _________

  r0+RL

したがって内部抵抗r0が負荷抵抗RLに比べて十分に小さいとき、VL≒E0となります。これにより負荷電流ILに関わらず、端子電圧VLが一定になります。

定電圧電源と定電流電源はどう違う? 電圧源回路

定電流源の回路は下記のようになります。定電流電源の内部抵抗は、電源と並列になっています。出力電流ILは次の式で表されます。

定電圧電源と定電流電源はどう違う? 内部抵抗の式

内部抵抗r0が∞のとき、IL≒I0となります。これにより負荷電流ILが一定になります。

定電圧電源と定電流電源はどう違う? 電流源回路

VL、ILを一定にするなどの仕組みをもった電源を直流安定化電源といいます。
直流安定化電源の種類には、電圧・電流を安定して得るために入力と出力の間に制御回路を入れて安定化させる「シリーズレギュレータ電源」や、入力を切ったり入れたりすることで高周波を作りだし、整流・制御して安定化させる「スイッチング電源」があります。
また、直流安定化電源は、負荷が変化しても出力電圧が安定している「直流定電圧電源」、出力電流が安定している「直流定電流電源」に大別されます。
直流安定化電源の制御方式によるメリットとデメリットや、取り扱い対象となっている商品については、下記リンク先をご覧ください。