SIMS(二次イオン質量分析)とは?
SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析)は、試料表面に加速した一次イオンビームを照射し、そこから放出される「二次イオン」を質量分析することで、表面の元素組成や深さ方向の分布を高感度で測定する分析手法です。
最大の特徴は、その極めて高い検出感度にあります。多くの分析手法では困難なppb(10億分の1)レベル、条件によってはppt(1兆分の1)レベルの微量元素まで検出可能であり、材料科学や半導体開発において不可欠な分析技術となっています。
また、一次イオンによるスパッタリングを継続しながら測定を行うことで、試料表面から内部へ向かう元素濃度分布(デプスプロファイル)を高い深さ分解能で取得することができます。
SIMS(二次イオン質量分析)の原理
SIMSの測定は、大きく分けて以下の3つのステップで行われます。
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スパッタリング(放出)
加速された一次イオン(Cs⁺、O₂⁺、Bi⁺など)を試料表面に衝突させ、表面の原子や分子を弾き出します(スパッタリング現象)。この際、一部の粒子がイオンとして放出されます。これが「二次イオン」です。
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質量分析(分離)
放出された二次イオンを質量分析器(磁場型、四重極型、TOF型など)へ導き、質量電荷比(m/z)ごとに分離します。これにより、試料中に含まれる元素や化学種を特定します。
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検出(測定)
分離されたイオンをMCP(マイクロチャネルプレート)や電子増倍管などの検出器で測定します。一次イオンによる掘削を継続することで、表面から深さ方向への元素分布(デプスプロファイル)を取得することができます。
SIMS(二次イオン質量分析)の用途
SIMSはその超高感度な分析能力を活かし、以下のような先端分野で活用されています。
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半導体デバイス開発
シリコンウェハ内のドーパント(ホウ素、リン、ヒ素など)の濃度分布測定や不純物分析。
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薄膜・界面解析
多層膜構造における界面の急峻性評価、拡散現象の解析、膜厚方向の元素分布測定。
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二次電池材料評価
リチウムイオン電池などの電極内部におけるリチウム分布や劣化メカニズムの解析。
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新材料研究
触媒表面の微量不純物分析、組成変化の評価、機能性材料の研究開発。
SIMS(二次イオン質量分析)に必要な電源
SIMSは多くの高電圧・精密電源によって構成される分析装置です。電源品質は分析感度、質量分解能、深さ分解能に直接影響するため、極めて高い安定性と低ノイズ性能が求められます。
1.一次イオン源用:高電圧電源(数kV~数十kV)
一次イオンを加速し、安定したイオンビームを生成するために使用されます。
- 要求仕様
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- 極低リップル
- 低ノイズ
- 高い長期安定性
- 影響
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電圧変動はイオンビームエネルギーの変動を引き起こし、スパッタ率の変化や測定信号のノイズ増加につながります。
2.質量分析部用:精密電圧電源(数百V~数kV)
静電レンズ、偏向電極、エネルギー分析器などに使用されます。
- 要求仕様
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- 高精度な電圧制御
- 優れた長期安定度
- 低温度ドリフト
- 影響
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電圧のわずかな変動でもイオン軌道が変化し、質量分解能の低下やピーク位置の変動を引き起こします。
3.試料バイアス用:高安定度電源
試料にバイアス電圧を印加し、二次イオンの抽出効率やエネルギー分布を制御します。
- 要求仕様
- 高安定度
- 低リップル
- 高精度出力
- 影響
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試料バイアスの変動は感度低下や質量分解能の悪化につながります。
4.検出器用:高電圧電源
MCPや電子増倍管などの検出器を動作させるために使用されます。
- 要求仕様
- 低ノイズ
- 高安定度
- 高信頼性
- 影響
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電源ノイズは検出信号のばらつきを増加させ、微量成分の検出限界を悪化させます。
5. 帯電中和用:フィラメント電源
絶縁体試料の測定時には表面帯電(チャージアップ)が発生するため、電子フラッドガンなどを用いて電子を供給し、帯電を中和します。
- 要求仕様
- 安定したフィラメント加熱
- 高精度な電流制御
- 高信頼性
- 影響
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帯電が適切に中和されない場合、二次イオン放出量が変化し、測定結果の再現性や定量性が低下します。
まとめ:電源品質が分析精度を決める
SIMSにおいて電源は単なる電力供給源ではありません。電源品質は、分析感度、質量分解能、深さ分解能を左右する重要な要素です。
高安定度・低ノイズの電源は、イオンビームの安定化、質量分析精度の向上、微量元素の高感度検出に大きく貢献します。
弊社では、SIMSをはじめとする分析機器・真空機器向けに、高安定度・低ノイズを実現した最適な電源ソリューションを提供しています。