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技術コラム

CT(コンピュータ断層撮影)の原理と構造について|松定プレシジョン

CTとは(基礎知識)

CTとはコンピュータ断層撮影(Computed Tomography)の略称です。X線を照射し、物体の断面画像や立体像を得るための装置です。CTは多方向からX線を照射し、撮影した画像をコンピュータで解析します。そうして立体的(3D)なX線像を生成するのが特徴です。

CTと同様にX線を使って物体の内部の画像を得る装置に、X線検査装置があります。これは一方向からX線を照射し、平面(2D)のX線透過画像を撮影するものです。医療用のレントゲン装置や空港の手荷物検査などが、これに該当します。

X線検査装置では、X線を照射した方向から物体を透視した画像が得られるのに対し、CTでは物体に対し任意の断面画像が得られるのが大きな違いです。またX線検査装置では、透過したX線がそのまま画像になりますが、CTはそうではありません。得られた画像を解析し、立体的な像に変換しなければ断面画像は得られないからです。CTにおいてはComputed Tomographyの名前の通り、コンピュータを用いてトモグラフィーという断層撮影法の画像処理を行います。この作業を再構成といいます。

CTの原理と構造

CTの撮影にはX線を利用します。X線とは、電離放射線ともよばれる電磁波です。波長が非常に短く大きなエネルギーを持っているため、透過作用を持ち、物質を構成する原子と原子の間を通り抜けることができます。しかしX線は、物体を透過する際に原子の周りを回る電子などにぶつかり、減衰していきます。金属のような密度の高い物質では減衰率は高くなる一方で、空気や紙など密度の低い物質では減衰率は低くなります。

製品検査においては、外側から見てもわからない内部の状態を、検査対象物の密度や厚みの違いから、中の状態を推測できるのです。
さらに同じ物質でも、X線の透過方向に対して厚みがあれば減衰率は高くなり、厚みが少なければ減衰率は低くなります。この性質もまた、断面画像を得るためには重要な性質の一つです。

物体を透過する際に減衰しきらず透過したものを透過X線といいます。X線撮影を行う際にはこの透過X線を影絵やすかし絵のように取得して、画像を得ているのです。透過X線画像では、高さ(厚さ)方向の情報がありません。CTで取得したデータは、あらゆる方向から確認でき、どの位置からの断面も表示できます。

CTの基本構造は下の図の通りです。

CTの基本構造

X線発生器から出たX線が、テーブル上の検査対象物を透過し、X線検出器に当たります。このとき検査対象物を回転させることで、X線検出器が取得する透過X線の影が変わっていきます。

例えば断面上に細長い部品があれば、ある向きでは小さく写りますが、別の角度では大きく写ります。このような仕組みを使って画像を再構成し、断面画像として出力しているのです。このようにして、得られた画像を解析するためには専用のソフトウェアが必要になります。

X線を発生させる際には、まずフィラメントに電流を流して加熱します。加熱されたフィラメントから飛び出した熱電子を高電圧で加速させ、陽極のターゲットに衝突させるとX線が放出されます。

X線源(X線管のしくみ)|松定プレシジョン
X線源(X線発生のしくみ)

CTでは、こうして発生させたX線を検査対象物に照射し、透過してきたX線をX線検出器で画像に変換します。X線検出器はフラットパネルディテクター(FPD: Flat Panel Detector)とよばれます。

FPDには間接式と直接式の2種類があります。間接式では、X線変換膜であるシンチレーターを用います。シンチレーターはX線が当たるとわずかに発光する性質を持っています。透過X線がシンチレーターに当たって起きる発光を、PD(フォトダイオード)などのイメージセンサで検出します。

FPD(フラットパネルディテクター)|松定プレシジョン
間接式X線フラットパネルディテクター

直接式では、セレンの膜を用います。膜に高電圧バイアスをかけると、透過X線が当たったときに電流が流れます。その電流で薄膜トランジスタがONになり、その信号を画像に変換します。

詳しくは、用途・事例の"X線フラットパネルディテクター(FPD)"をご覧ください。

医療用のCTと工業用のCT

CTには主に医療用と工業用の2種類があります。

医療用のCTスキャナでは、人の周りをX線発生器とX線検出器が回転してスライス画像(断層画像)を連続的に生成します。検査対象物と異なり、人を回転させるのは難しいためです。このようなスキャン方法をヘリカル(らせん状)スキャンといいます。

工業用または産業用とよばれるCTスキャナでは、検査対象物が回転して断面画像を生成します。工業用のスキャナにはファンビームCTとコーンビームCTがあり、X線の広がり方によって分けられます。

ファンビームCTでは扇状(ファン【fan】)にX線が広がります。ファンビームCTは、より高精度なスキャンが必要とされる場合に利用されます。

一方でコーンビームCTでは円錐状(コーン【cone】)にX線が広がります。産業用では主に、一度の回転で立体像が生成できるコーンビームCTが使われます。

コーンビームCTのスキャンには、ノーマルスキャン、フルスキャン、ハーフスキャン、オフセットスキャン、連続スキャン、間歇(かんけつ)スキャンなどと呼ばれている方法があります。

工業用CTの用途

工業用CTは、さまざまな場面で活用されており、特に品質管理や研究開発の用途で主に利用されます。品質管理の一例としては、アルミ鋳造品が想定された強度を満たさなかったケースにおいて、CTにより鋳巣が発見され、不具合の解決に役立てられています。

このような非破壊検査による内部構造の確認や内部の探傷検査、異物の確認や充填不良による「巣(空洞)」の確認の他、欠陥品の調査やリバースエンジニアリング等の用途として用いられます。

X線CT解析例 2D・3D解析ソフトの操作画面|松定プレシジョン
X線CT解析例

研究開発用途では、マイクロデバイスや微細構造物の状態確認、GFRPや複合素材、高分子素材、発泡金属などの高機能素材などが挙げられます。

また工業用CTを工業以外の分野に応用する例として、考古学が挙げられます。CTを利用し、遺跡から出土した品物を破壊せずに内部構造を調べる方法として用いられているのです。

工業用CTを応用し、さらに高解像度の画像を得られるようにしたものがmicro-CTや3DX線顕微鏡です。一般的な工業用CTや医療用CTと同じように、X線を利用して内部を透過して3D画像を得られます。

解像度が非常に高く、例えば多孔質セラミックの気孔を拡大して3Dで観察するような使い方ができます。