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技術コラム

 
交流電源とは(基礎知識)

■交流電源/交流安定化電源とは

コンセントから流れてくる一般的な電源は、常に一定した電圧を保っているわけではありません。同じ電源でつながった電気機器の消費電力変化により生じる電圧変動や、瞬間的な電力の遮断などを含んでいます。

このような変動は決して大きいものではないため、照明のような単純構造の家電製品であればあまり問題になりません。しかし電子回路を搭載した機器や精密機器の場合、誤作動といったトラブルにつながる可能性があります。そのため、電圧変動の影響を無くすために、交流安定化電源が必要です。

また、交流安定化電源はコンセントとは異なり、さまざまな電圧や周波数の電源が供給できます。そのため、電子機器などの試験では瞬間的な電気の停止や高調波の発生、サージのような誤動作の可能性がある状況のシミュレートにも用いられます。

先述の通り、電源から供給される電気にはさまざまな変動を含んでいるため、このような環境下で被試験機器(DUT)が誤作動を起こさないか、事前のチェックが必要です。このチェックにも交流安定化電源が使われます。電源試験を行う場合には、実際の被試験機器や試験ごとに適した電源が必要です。

さらにこの性質を活かし、世界各国の電源の再現を行うことも可能です。世界中で使用されるAC入力の電子機器を作る際に、各国の電源事情に合わせたAC入力範囲と、それに準じた誤差を含む電圧での試験を行うために交流安定化電源が使用されます。

なお、交流安定化電源には次の3つの性質が求められます。

  • 出力電圧の安定性
  • 入力電圧の変動による影響がなく、出力波形品質が安定している
  • 負荷の種類や増減による影響を受けず、安定した電力を供給できる

直流安定化電源であっても、交流安定化電源であっても、常に安定した任意の出力が求められますが、交流安定化電源においては、電圧だけでなく出力波形や供給電力の安定も求められます。

■交流電源の種類

交流電源は、大きく2つに分類できます。1つは、直接AC-AC変換(シングルステージ)で、もう一方は、ACを一度DCに変換し、DCをACに変換する2ステージタイプです。

それぞれのタイプにも複数の変換方式があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。それぞれの方式の特徴を以下にまとめます。

種類 方式 サイズ 効率 コスト 応答時間 歪率 波形品質 操作 その他の特徴 弊社製品
AC-AC直接変換
[AC電圧変換器]
例:
自動電圧調整器
(AVR:
Automatic
Voltage
Regulator)
AC
スタビライザー
(電圧安定器)
安価 低速 ACラインに依存 自動 AC電源の
ノイズ低減装置
スライダック
(バリアック、
単巻変圧器)
安価 - ACラインに依存 自動 AC電圧の
変換トランス
タップチェンジャー 安価 低速 ACラインに依存 ステップ/連続 トランスの
タップ切替
AC-DC-AC変換器
[AC電圧・周波数変換器]
例:
交流電源(AC電源)
プログラマブル交流電源
リニアアンプ 高価 最高速 最も低い 最良 電子式制御 高品質な波形
(電圧と周波数)
随時変更可能
スイッチングインバータ 中間 高速 中程度 良好 電子式制御 最適なバランス
(波形、品質、
サイズ、効率、
コストなど)
SRKシリーズ
SRSシリーズ
SRJシリーズ

■おすすめ交流安定化電源の製品紹介

では、交流安定化電源をどのように選んでいけばよいのでしょうか? まずは現状のトレンドを抑えておきましょう。ここ最近、交流安定化電源は小型化する傾向にあり、また、環境保全などの視点からより高効率な電源も求められています。

このような現状を受け、松定プレシジョンでは他社製品よりもコンパクトな卓上型の交流安定化電源を開発しました。2021年7月現在、交流安定化電源を取り扱う企業の中で、一人でもかんたんに持ち運べる卓上サイズの交流安定化電源を販売しているのは松定プレシジョンだけになります。

ちなみに、松定プレシジョンの交流安定化電源ラインナップにおいて最もハイパワーで多機能なものはSRKシリーズです。SRKシリーズは松定プレシジョンのフラグシップモデルとして、高品位な出力だけでなく、小型化、軽量化、高効率化も実現しています。

ほかにも、卓上サイズでありながら高いパワーを備え持つSRSシリーズや小型サイズでも多くの機能を搭載するSRJシリーズを提供。SRJシリーズはACだけでなくDC電流も出力できる他、海外向け製品の開発や、試験に便利なユニバーサルタイプの電源出力端子を持っています。

一方、シンプルな機能を備えているのがSRJEシリーズです。他の交流安定化電源ラインナップとは異なり、交流出力しかできないのも注意すべき点になります。

シリーズごとの特徴をまとめると、下記のようになります。

  単相交流出力 三相交流出力 直流出力
ハイパワー・多機能 SRKシリーズ
卓上サイズ・高機能 SRSシリーズ  
卓上サイズ・多機能 SRJシリーズ
卓上サイズ・シンプル SRJEシリーズ    

△:3台連携により対応

なお、交流安定化電源は基本的に単相交流のみの出力ですが、松定プレシジョンの交流安定化電源では、3台を連動させることで三相交流も実現できるのが大きな特徴となっています。

おすすめはハイパワーなSRKシリーズになりますが、必要としている試験の内容や、設置場所もあわせて選ぶとよいでしょう。