技術コラム

産業用の製造装置や検査装置、検査システムでは、電源や計測器、モーターやセンサー等が電子回路や通信で制御されています。制御は主に、Windows-PCなどのパソコンで行われる場合と、PLCやシーケンサなどの産業用コントローラで行われる場合があります。

PLCやシーケンサなどと呼ばれる産業用のコントローラの通信では、RS-485によるシリアル通信やCC-Link、DeviceNetなどといった通信が使われていました。LAN通信の発展に伴い、産業用の通信でもLANの技術を取り入れた通信方法が増え産業用ネットワークと呼ばれています。
今回は、産業用のイーサネット通信などについて調べた内容を掲載します。弊社がインターネット上に記載されていた内容を2021年4月にまとめたものですので、最新の情報は、各主催者のサイトのオリジナル情報にて確認してください。

  EtherNet/IP Modbus PROFINET PROFIBUS
レギュラー会員 アソシエイト会員   正会員 賛助会員  
会費 入会費 無し 無し 無し ¥150,000 ¥0 会員費用はPROFINETと共通
年会費 $6000 $2000 ¥100,000 1口10,000円 (1口以上)
物理層 通信方式 サイクリック通信、メッセージ通信 マスタ・スレーブ方式 リアルタイム通信とTCP/IP通信が共存 ハイブリッド方式
通信の種類 Ethernet、10/100BASE-T 規定なし 100BASE-TX オプション 100BASE-Tなど RS485
伝送速度 10/100Mbps 100Mbps 9.6kbps~12Mbps
通信距離 ノード間で100m以内 100m以内 100~1200m
ネットワーク構成 スター型、ライン型、リング型、ツリー型 スター型、ライン型、リング型、ツリー型 バス型、リング型、トリー型
最大接続台数 制限なし 制限なし 最大126ノード
ケーブル仕様 Cat5eケーブル・RJ45モジュラープラグ 銅線、光ファイバー、無線 STPケーブル、光ファイバ
特徴  
  • イーサネット技術の進歩に追従しやすい
  • FTPやSMTPなどの標準的なネットワークプロトコルでメールやファイルの転送が可能
  • 標準Ethernetを搭載したプロセッサであれば実装可能
  • 他のネットワーク規格と異なり、組織的に運用されていないため対応機器同士を実際に接続できるかは実績による検証が必要。
  • 通信プロトコルは規定されているが、物理レイヤは規定されていない
  • IOデータ、同期データ、機能安全信号、電力制御データ、診断データの他、インターネット標準の汎用通信TCP/IPで情報データも通すことができ、工場内外の設備・機器のデジタルプラットフォームを構築できる。
  • 制御データの厳密なリアルタイム通信が行える。
  • スピードが早く、データフレームサイズが大きい。
  • ファクトリーオートメーション(FA)からプロセスオートメーション(PA)まで幅広くカバーするように、3つのプロトコルを規定している。

■Ethernet/IP

特徴

CIP(産業用共通プロトコル)に標準Ethernetを適用した産業ネットワークの中でも世界的に普及しているプロトコルの一つ。
Ethernet/IPの最大の特徴は、標準Ethernetを採用していること。

標準Ethernetを採用するメリットは以下の通り

  • イーサネット技術の進歩に追従しやすい
  • FTPやSMTPなどの標準的なネットワークプロトコルでメールやファイルの転送が可能
    Ethernet/IPは産業ネットワークに不可欠なリアルタイム通信と、TCP/IPの通信を混在させることができる。
    そのため、ファイルやメールの転送などの標準的なネットワークの通信も可能であることから、他のプロトコルと比べても汎用性・拡張性に優れている。
  • 標準Ethernetを搭載したプロセッサであれば実装可能
    他の産業ネットワークのプロトコルによっては、物理層やデータリンク層においても独自のプロトコル仕様が要求されることがあるが、Ethernet/IPは標準Ethernetを採用することにより、対応させるプロセッサの選択肢も広げることができる。

物理層

通信の種類 Ethernet 10/100 BASE-T
速度 10/100Mbps
最大通信距離 ノード間で100m以内
トポロジ スター型、ライン型、リング型、ツリー型
最大接続台数 制限なし
ケーブル仕様 Cat5eケーブル・RJ45モジュラープラグ

年会費の有無

Ethernet/IP使用するには、ODVAの会員になるか認可ベンダとして登録する必要がある。
ODVAの会員:仕様書を購入、ベンダIDを保有かつ年会費を払う
認可ベンダ:仕様書を購入、ベンダIDを保有している

会員費

従業員100人以上の会社 $6000/年 (648,060円) :レギュラー会員
従業員100人未満の会社 $2000/年 (216,020円) :アソシエイト会員

  会員価格 認可ベンダ価格
ベンダーID登録料 $500 (54,005円) $1000 (108,010円)
仕様書購入 $350 (37,803.5円) $1000 (108,010円)
仕様書契約更新 $300 (32,403円) $1000 (108,010円)
※2021/4/21 現在 1$ 108.01円

レギュラー会員は、ベンダーID登録料、仕様書購入費用、仕様書契約更新費用の一種無料になる。
上記は2014年2月の情報、詳しくは問い合わせないと不明

会員になると受けられる恩恵

  • 仕様とベンダーIDのサブスクリプションの優先価格。メンバーは、メンバーシップレベルに応じて、少なくとも50%の割引を受けられる。
  • ODVAが提供するクラス、セミナー、ワークショップ、および相互運用性イベントの優先価格。メンバーは50%割引を受けられる。
  • ODVAテストソフトウェアの推奨価格。メンバーは50%割引を受けられる。
  • 適合性テストサービスの優先価格。メンバーは50%割引を受けられる。

参考
https://odvatagjapan.iinaa.net/ODVA/ODVA1.html
https://www.odva.org/
https://emb.macnica.co.jp/tech_blog/13444/
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/2010-2011/1107/index.html

Modbus(RTU/TCP)

odicon社がPLC (プログラマブルロジックコントローラ) 用途に開発したシリアル通信プロトコル仕様が公開されている(http://www.modicon.com/)
通信方式はマスタ・スレーブ方式で、マスターからのクエリー(コマンド:通信の開始)とスレーブからの応答メッセージで通信する。
通信プロトコルは規定されているが、物理レイヤは規定されておらず通信媒体の違いで3つに分かれている。
他のネットワーク規格と異なり、組織的に運用されていないため、対応機器同士を実際に接続できるかは実績による検証が必要。

  • Modbus/RTU
    1byte(8bit)のデータをそのまま伝送(ASCIIより伝送効率が良いため、RTUが主流)
    エラーチェック:CRC法
  • Modbus/ASCII
    1byte(8bit)のデータを2文字のASCIIコードに変換して伝送(RTUより伝送効率が悪い)
    エラーチェック:LRC法
  • Modbus/TCP
    イーサネットベースのネットワーク
    ModbusメッセージをTCP/IPネットワークに乗せて送信
    マスタ/スレーブ通信だけでなく、1対1通信も可能

物理層

物理レイヤは規定されておらず、一般的にRS-232、RS-485が使用されている。

年会費の有無

利用は無料
ベンダーに制約を設けていない

参考
https://algorithm.joho.info/network/modbus/
https://www.eforce.co.jp/ethernet/
https://www.se.com/us/en/

■PROFINET

特徴

IOデータ、同期データ、機能安全信号、電力制御データ、診断データの他、インターネット標準の汎用通信TCP/IPで情報データも通すことができ、工場内外の設備・機器のデジタルプラットフォームを構築できる。
Ethernetで対応可能なあらゆるトポロジを速度、通信周期、ネットワーク負荷、可用性などを考慮して選択できる。
短31.25μsまで仕様で規定され、制御データの厳密なリアルタイム通信が行える。
情報データと共存してもリアルタイム性能は維持される。

PROFINETは下記3種類の通信規格を管理することで、高速同期制御から汎用イーサネットとの共存を実現する。

  • NT(Non Real-Time)
    TCP/IPをベースにした通信で優先度が最も低いレベル。リアルタイム性が不要なパラメータの読み書きに使用する。
  • RT(Real-Time)
    VLANの機能を使ってNTのデータと比較してRTのデータを優先して通信します。10ms程度のリアルタイムネットワークを構築することができる。
  • IRT(Isochronous Real-Time)
    RT以上のリアルタイム性を実現するためのプロトコルで、ジッタ1μs以下で同期する事ができる。

物理層

IEC61158とIEC 61784(フィールドバス)で標準化されている。

伝送種類 100BASE-TX オプション 100BASE-Tなど
伝送速度 100Mbps
通信距離 100m以内
トポロジ スター型、ライン型、リング型、ツリー型
最大接続台数 制限なし
伝送ケーブル 銅線、光ファイバー、無線

年会費の有無

日本プロフィバス協会への入会費用
入会金 正会員 150,000円 賛助会員 0円
年会費 正会員 100,000円 賛助会員 1口10,000円 (1口以上)

<会員の場合>
テストセンターでの試験終了後、プロフィバス協会本部への認証料が以下の価格になる。(試験手数料は別途必要)
PROFINET機器の認証の初期登録費用は900ユーロ(116,955円)、(機器の改訂がある場合) 3年ごとの継続費用が450ユーロ(58,477.5円)
<非会員の場合>
PROFINET機器の認証の初期登録費用は3000ユーロ(389,850円)、(機器の改訂がある場合) 3年ごとの継続費用が1500ユーロ(194,925円)
※2021/4/21 現在 1ユーロ 129.95円
参考
http://www.profibus.jp/index.html
https://www.takagishokai.co.jp/product-search/2017/06/21/127
https://www.eforce.co.jp/profinet/

■PROFIBUS

特徴

スピードが早く、データフレームサイズが大きい。
プロトコルとして最も単純なマスター・スレーブ方式を採用している。
ファクトリーオートメーション(FA)からプロセスオートメーション(PA)まで幅広くカバーするように、以下の3つのプロトコルを規定している。

  • PROFIBUS-FMS(Fieldbus Message Specification)
    オブジェクト指向のモデルであり、PLC、DCS、PCなどのインテリジェントステーション間の通信に適用されるプロトコル
  • PROFIBUS-DP(Decentralized Periphery)
    リモートI/O、ドライブ等のフィールド装置とコントローラ間での高速データ伝送を可能にするプロトコル
  • PROFIBUS-PA(Process Automation)
    IEC1158-2で規定された物理層に防爆対策を適用し、通信ケーブルによって各ノードへの電力供給を可能にしたプロトコル

物理層

通信方式 ハイブリッド方式
伝送速度 9.6kbps~12Mbps
接続ノード数 最大126ノード
ユーザーデータ量 最大244Byte/1フレーム
トポロジー バス型、リング型、トリー型
ケーブル STPケーブル、光ファイバ
コネクタ 最RS-485
伝送距離 1200~100m

年会費の有無

日本プロフィバス協会への入会費用
入会金 正会員 150,000円 賛助会員 0円
年会費 正会員 100,000円 賛助会員 1口10,000円 (1口以上)

<会員の場合>
PROFIBUSのID番号取得料が80ユーロ(10,396円) (非会員は310ユーロ(40,284.5円))
テストセンターでの試験終了後、プロフィバス協会本部への認証料が以下の価格になる。(試験手数料は別途必要)
PROFIBUS機器の認証の初期登録費用と3年ごとの継続費用は無料
<非会員の場合>
PROFIBUS機器の認証の初期登録費用は3000ユーロ(389,850円)、(機器の改訂がある場合)
3年ごとの継続費用が1500ユーロ(194,925円)
※2021/4/21 現在 1ユーロ 129.95円
参考
http://www.profibus.jp/index.html
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_network/9912/index.html

Tips

PCで制御する場合、以前はGP-IBやRS-232Cが多くつかわれていました。近年はUSBやLAN、無線、またIoTなどインターネットに接続して使われることが多くなりました。通信プロトコルについては、物理的なポート以上に多用途で複雑化しています。例えば、同じUSBでも以前のRS-232Cのように使えるUSB communications device class(CDC)やGP-IBスタイルの USBTest and Measurement Class(TMC)などが存在します。LANに至っては、TCP/IP、VXIBus、SCPI-RAW、VXI-11、High Speed LAN Instrument Protocol(HiSLIP)、LXI、IVI、VISA、IEEE488.2などの用語があり理解するのに時間を要します。

松定プレシジョンの産業用ネットワークに対応した電源を紹介します。

弊社で対応していない産業用ネットワークへの接続は、市販の産業用ネットワーク変換アダプタやデーターコンバータを用いて対応することが出来ます。