確度 (Accuracy) - 設定値に対する "正確さ"
確度とは、「設定した電圧や電流の値と、実際に出力される値がどれだけ近いか」を示す指標です。つまり、目標とする値(真の値)にいかに近いかという "正確さ" を表します。
直流電源における確度の計算例
例えば、カタログに電圧確度が「±(0.05% of setting + 10mV)」と記載されているDC電源で、100Vを出力するように設定したとします。この場合の仕様上の誤差は以下のように計算できます。 誤差=100V×0.0005+10mV=50mV+10mV=60mV これは、実際の出力電圧が100V±60mVの範囲(99.94V~100.06V)に収まることを保証している、ということになります。
なぜ仕様書では「確度」が使われるのか
電源機器や計測器のカタログや仕様書では、性能を示す指標として「精度 (Precision)」ではなく、「確度 (Accuracy)」が用いられるのが一般的です。
これは、機器を使用するユーザーが最も知りたい情報が「設定した値に対して、実際の出力や測定値がどれだけ正確か(保証された誤差の範囲はどれくらいか)」であるためです。仕様書に記載された「確度」は、メーカーが保証する誤差の最大範囲を示しており、ユーザーはこの数値に基づいて試験や測定の結果を評価することができます。
繰り返し出力した際のばらつき(精度に相当する要素)や、温度変化による変動なども含めて、総合的に保証されるのが「確度」です。したがって、仕様書の「確度」は、その機器の信頼性を示す包括的な指標として機能します。
「精度 (Precision)」との違い
「確度」としばしば混同される用語に「精度 (Precision)」があります。
- 確度 (Accuracy): 目標(真の値)への近さ、つまり「正確さ」
- 精度 (b): 測定値同士のばらつきの小ささ、つまり「再現性」
的当てに例えると、的の中心(目標)にいかに近い場所へ当てられるかが「確度」です。一方、「精度」は、複数回撃った弾がどれだけ一点に集中しているか(ばらつきの小ささ)を示します。
「精度 (Precision)」で、的当ての図解を用いた詳しい解説をしています。
- 公的な定義
JIS Z 8103:2019 (計測用語) において、「確度 (measurement accuracy)」は「測定値と、受け入れられる参照値との一致の度合い」と定義されています。 - 参照情報:
JIS規格は、日本産業標準調査会(JISC)のウェブサイトで閲覧が可能です。
(JISCウェブサイト: https://www.jisc.go.jp/ 内のJIS検索で「Z8103」を検索してください)