立下り時間(Fall Time)とは、電源出力をOFFにした瞬間から、出力電圧が定格の90%から10%へ降下するまでに要する時間を指します。これは電源遮断時の放電特性を示すもので、安全性や負荷保護に関わる重要なパラメータです。
一般的な定義式は以下の通りです。
立下り時間 = t10% − t90%
ここで、t90%は出力電圧が90%に降下した時点、t10%は10%に到達した時点の時間です。
例えば定格電圧100Vの電源が出力OFF後、90V(90%)に達するのが1ms、10V(10%)に達するのが6msであれば、立下り時間は5msとなります。
代表的な立下り時間の目安は以下の通りです。
- 線形電源:10~30ms
- スイッチング電源(同期整流):5ms未満
- 高電圧(HV)電源:可変放電抵抗により調整可能(数ms~数100ms)
立下り時間が遅すぎると、出力ラインに残留電荷が長時間残り、安全上のリスク(感電、誤動作など)となる場合があります。一方で速すぎると、電圧が急変し負荷に逆電圧がかかる可能性があり、特にコンデンサやICなどの回路部品を損傷させる原因となるため、用途に応じた適正な制御設計が重要です。そのため、立下り特性の最適化にはスナバ回路や放電抵抗、ソフトシャットダウン機能の導入が検討されることがあります。