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用語集

精度 (Precision) - 出力値の "ばらつきの小ささ"
精度とは、同じ条件下で繰り返し測定を行ったときに、その測定値同士がどれだけ互いに近いか、つまり、ばらつきが小さいかを表す指標です。言い換えると、何度測っても同じような値が出る "再現性の高さ" を意味します。

直流電源における精度

直流電源の文脈では、「同じ電圧や電流を繰り返し出力させたときに、個々の出力値がどれだけ互いに近い値にまとまっているかという度合い」と解釈できます。精度の本質は、値同士がいかに揃っているかという点にあります。

精度の重要性

精度が高いということは、出力の再現性が高く、常に信頼性のある実験結果を得られることを意味します。わずかな出力のばらつきが結果に影響を与えるような、繊細な測定や評価において重要な概念です。

「確度 (Accuracy)」との違いと、仕様書での表記

「精度」は「確度 (Accuracy)」と混同されやすいですが、意味は明確に異なります。

  • 精度 (Precision): 測定値同士のばらつきの小ささ、つまり「再現性」
  • 確度 (Accuracy): 目標(真の値)への近さ、つまり「正確さ」

ここで重要なのは、電源機器や計測器の仕様書では、性能保証の指標として「確度」が一般的に使用されるという点です。
ユーザーにとって最も重要なのは、「設定値に対して実際の出力がどれだけ正確か」という保証値です。仕様書に記載されている「確度:±(X% + YmV)」といった表記は、この保証されるべき誤差の最大範囲を示しています。
そして、この「確度」が保証する誤差の範囲には、繰り返し出力した際のばらつき(精度に相当する要素)も含まれています。言い換えれば、メーカーが保証する「確度」という大きな枠の中に、「精度」に起因するばらつきも収まっている、と考えることができます。
このため、個別の性能として「精度」が仕様に記載されることは稀で、より包括的な性能指標である「確度」が記載されるのです。

的当てによる違いの理解

この2つの違いは、的当てに例えると直感的に理解できます。

状態 的当ての例え 解説
高確度・高精度 低確度・高精度 高確度・低精度 低確度・低精度
理想的な状態。狙った中心(真の値)に近く、かつ弾(測定値)が一点に集中している。 弾は一点に集中している(高精度)が、狙った中心からは外れている(低確度)。再現性は高いものの、真の値との間に系統的なズレ(システマティックエラー)がある状態です。 弾はばらついている(低精度)が、その平均点は狙った中心に近い(高確度)。 弾は中心から外れた位置に、広範囲にばらついています。
高確度・高精度 低確度・高精度 高確度・低精度 低確度・低精度
  • 公的な定義
    JIS Z 8103:2019 (計測用語) において、「精度 (measurement precision)」は「指定された条件の下で得られる、個々の測定値又は指示値の互いの近さの度合い」と定義されています。
  • 参照情報:
    JIS規格は、日本産業標準調査会(JISC)のウェブサイトで閲覧が可能です。
    (JISCウェブサイト: https://www.jisc.go.jp/ 内のJIS検索で「Z8103」を検索してください)

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