シリーズ接続(直列接続、Series Operation)とは、電源同士を直列に接続し、より高い電圧の電源として使用する接続方法です。
この接続方式では、すべての電源を同じ極性で直列につなぐことで、全体の電圧は各電源の電圧の総和となります。これは電気回路理論の直列接続の特性によるもので、直列接続された素子の電圧は、各素子の総和で計算されるという部分から来ています。
数式で表すと、合成電圧 Vt は次のように表されます。
Vt = V1 + V2 + V3 + ・・・・・+Vn
回路図で示すと以下のようになります。
具体的な例で言うと、±30kVの高電圧電源を2台直列に接続すれば、±60kVの高電圧を得ることが可能です。これは高電圧印加を必要とする試験装置や研究用途でよく使われます。
シリーズ接続にはいくつかの重要な注意点があります。各電源間の絶縁性能が十分でないと、漏電や破損のリスクが高まります。また、各電源の出力には通常、わずかなリップル(電圧の波形のゆらぎ)が含まれており、それが直列で重畳されると全体の出力品質に影響を与える可能性があります。さらに、一部の電源が停止または断線した場合、他の電源から逆電圧がかかる恐れがあるため、逆電圧保護用のダイオードを各電源に並列接続しておくことが必須です。
シリーズ接続は高電圧を得る上で非常に有効な手段ですが、安全性と安定性を確保するために設計上の注意が必要です。