等価回路(Equivalent circuit)とは、端子における電流・電圧・周波数特性が、元の回路と同じになるように構成された別の回路です。特定の目的のために、簡略化して表現した代用の回路と考えるといいでしょう。
例えばDCモータの動作を、抵抗やインダクタンスなどの電気的要素、および摩擦などの機械的要素を組み合わせた回路で再現し、元のモータと同様の電流-電圧特性を持たせたものが等価回路です。
LCRメータでは、等価回路を「直列等価回路」または「並列等価回路」のいずれかのモデルで表現し、インダクタンス(L)、キャパシタンス(C)、抵抗(R)の各パラメータに換算して表示します。
直列等価回路では、理想的なコンデンサに直列に接続されるコイルや抵抗など、実際の非理想的な受動素子の特性をモデル化するために、ESIやESRといったパラメータが用いられます。
ESIは、等価直列インダクタンス(Equivalent Series Inductance)の略称です。コンデンサや抵抗、配線などは、わずかなインダクタンス(自己インダクタンス)を持っていて、高周波での影響が無視できなくなります。理想的なコンデンサと直列に接続されたこのインダクタンス成分をモデル化したのがESI(等価直列インダクタンス)です。
ESRは、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance)の略称です。理想的なコンデンサやコイルには抵抗成分はありませんが、実際の部品や配線にはわずかな電気抵抗が存在します。この抵抗成分をモデル化したのがESR(等価直列抵抗)です。
さまざまなものを、一定の条件下においてシンプルな等価回路に置き換えることにより、現象の観察などが行いやすくなります。
また等価回路は、機械的な振動など、電気以外の現象を電気回路に置き換えて模擬することも可能です。たとえば生体のインピーダンスモデルなど、さまざまな分野の解析に応用されています。